個人的に好きな作品群
今日は、久しぶりにスタジオライフの舞台写真を整理しておりました。最近は忙しさのあまり、こんな作業もなかなかできませんでしたが、昨日「ライフ with シェイクスピアボーイズ」の写真集とDVDセットも届いて、ちょっとだけライフを思い出しておりました。
気がつけば来週からは「OZ」の再々演がスタート。今回は多忙のため残念ながらパスしますが、曽世1019と堀川ネイトはかなり見たかったなあ・・・。ただ、OZは笠原1019、岩崎ムトー、及川フィリシア、高根ネイトが私の中では永遠のメンバー。歳をとると”極端な変化への免疫”が弱くなるのもありますが、それ以前に客演ばかりの今回のキャスティングには、あまりそそられず・・・。
いっそ本公演ではなく、プロデュース公演にすれば良かったのに、と思ったりもします。公式サイトでも、いつになくマメな(苦笑)更新の「チケット情報局」を見るたびに、「チケットの売れ行きかなり厳しいんだろうなあ~。」と想像してしまう私がいます。とはいえ、そこは腐っても鯛なファン魂。余裕があれば見たいですし、評判を落としてもらいたくはないですね。
一方で、写真を整理していても実感しますが、私の中で最もライフにハマっていた時代がファンになりたての2000年~2004年頃、2005年を過ぎると見る回数も減り、どの年の上演作品か分からなくなったり、筋書きや配役すら忘却の彼方に行ってしまう作品も出てきます。じゃあ、どれが一体忘れられない作品なのか?と思って書きだしてみました。
【スタジオライフ 作品ベストテン(2000~2011)】
ランク | タイトル | 思い出の公演 |
---|---|---|
1位 | トーマの心臓 | 2000年 |
LILIES | 2002年 | |
3位 | 夏の夜の夢 | 2008年 |
4位 | ファントム | 2011年 |
5位 | 死の泉 | 2001年 |
6位 | 訪問者 | 2010年 |
7位 | 月の子 | 2002年 |
8位 | THREE MEN IN A BOAT+ワン | 2002年 |
9位 | OZ | 2003年 |
10位 | HAPPY Families | 2001年 |
「月の子」くらいまでは、スラスラ出てきましたが、その後はかなり頭を悩ませました。”The Other Life”の作品は、佳作が多いのでランク付けするのが難しく、思い切って外そうかとも思いましたが、かといって本公演だけで並べるとこれまた微妙だったり。SFモノや吸血鬼モノがあまり好きではないため、やや文芸作品に偏ってるかもしれません。ちなみに未見の「決闘」「リアル・シンデレラ・ストーリー」は、外しています。
配役もかなり重要で、再演が多い人気作品であっても、いつも手放しで褒められるというわけではありません。そこには、ファン特有のわがままな好みも加味されて、「この回のメンバーが最高!」ということもあります。では、作品別にコメントを。
1位 「トーマの心臓」&「LILIES」
同点一位で並べたのは、この2作品。個人的な嗜好と受けた衝撃の強さでは、実のところ「LILIES」に軍配が上がると思っていたのですが、「トーマの心臓」の聖なる世界観には、何度見ても変わらぬ魅力を感じてしまいます。道に迷って途方に暮れる時や心が殺伐として落ち着かないときにも、「トーマ」は帰ってこれる原点です。
劇団のメンバーが世代交代していても、今のところちゃんと再演を成功させていってる意味でも劇団スタジオライフの輝かしい代表作の地位は揺ぎ無いと思います。「LILIES」は、初演・再演の研ぎ澄まされた完成度に病気になりそうなほどハマッた思い出深い作品。ただ3回目の再演は、客演も多くなり、かなり散漫になった印象があります。
乱暴かもしれませんが、この2作品は、スタジオライフの持つ男性ばかりの”特殊な色っぽさ”を最大限に生かせる芝居ではないかと思うのです。更には、若手が一番成長することができる作品であるだけに、やはり劇団員だけでの上演に拘って欲しいです。
3位 夏の夜の夢
この作品は、スタジオライフが”シェイクスピア”と”音楽劇”に初めて挑戦した2006年から昨年までで3回の再演。めちゃくちゃ爆笑して、ホロリと泣ける、ライフには珍しいハートフルタイプの作品。石飛オーベロンと林ティターニアという高い歌唱力を持つベテランメンバーが支えているだけに、抜群の安定感もあります。
自分自身、ライフのピークは終りつつあるのかな?と思ったところで、この作品を見て「まだまだできるじゃん!」(笑)と可能性を感じまくったのがこの作品でした。韓国公演での成功も予測できましたが、海外に持って行ける作品の一つと思います。あとは、やや固定したキャスティングなので、新しい突破口を開けるか、という問題だけですね。
4位 ファントム
ランキングの中で唯一の最近作。キャスティングの時点では、どうなるか全く想像がつかなかったのが、フタを開けてビックリの完成度の高さ。「オペラ座の怪人」の主役エリックの生まれ~幼少期~青年期を描いた作品ですが、仮面をつけて演じきったライフきっての演技派、林勇輔・山本芳樹両人の渾身の熱演に引きずりこまれました。
主役以外のキャストも、難役にチャレンジして成功していましたし、斬新な映像演出もあって、新鮮でした。ストーリーは、とっても重くて暗いんですけどねえ・・・。悲しくて辛いエリックの人生の随所に、わずかに”美しい瞬間”や”救い”があって、その感動が胸に強く残ってしまうのです。観客は、目を背けずに一部始終を見届けなければならない”エリックの人生”の目撃者となっていたのだと思います。
5位 死の泉
「ファントム」や「夏の夜の夢」が出てくるまでは、私の中で長らく3位に位置していた作品。2008年の再々演の出来が(個人的に)イマイチでグッとテンションが落ちてしまったのが残念です。本来ならもっと上にあっても良い作品なのですが・・・。ボーイソプラノやカストラートという私の愛する要素を織り交ぜているだけではなく、ナチス時代の狂った世相も反映したミステリー。
血の繋がらない擬似家族の歪んだ関係性や束の間の幸せ、悲哀と憎しみが何層にも複雑に重なって、思い起こしてもいろいろな情景が浮かんできます。2001年版が何ゆえ好きかというと、甲斐クラウス、笠原フランツ、岩崎マルガレーテ、及川エーリヒの組み合わせがこれ以上ないほどに、魅力的だったからかもしれません。
配役というのはやっぱり大きいですね。あれだけ”重く毒々しい世界”が2008年の再演では、登場人物がみんな若返って、アッサリと見やすくなって、拍子抜けしちゃったものです。特に若く世間知らずのマルガレーテを、歪んだ欲望で支配するクラウスの存在が軽くなってしまったのが致命的。また再演のあかつきには、是非もっと救いようのない気味悪さ(笑)で帰ってきて欲しいものです。
(パート2へつづく)