雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

2014『トーマの心臓』観劇記(4)

芝居の変わった箇所、戻った箇所(マイ備忘録)

芝居を見てからはや1週間が経ちました。今頃、東京では「トーマの心臓が・・・(遠い目)」となりながら、突き動かされるように「トーマ」の過去パンフレットやスタジオライフの会報、過去のインタビューなど読みふけり、世界観に没頭してました。


更にはルーツに還って、萩尾先生のエッセイや原作コミックの豪華本(英語版「トーマの心臓」)も高いけど買っちゃおうかな、なんて。勢いって怖いものです。ブログは、ようやくこの回で終われますね。最後は備忘録ということで、舞台と演出の変わったところを書き留めておきます。


今回で8度目の再演ということで、同じ演目でもやはり変更点は結構ありました。舞台美術が変わる、という情報にやや不安*1を抱いておりましたが、そこまで大きな改変ではありませんでした。下手にベッド2つ、上手に階段という構成は、かなり昔から変わらず、のようですし。


2013年公演からセット奥にあった菩提樹が無くなったのは、ちょっと残念でした。エーリクがシドと再会するシーンやトーマの両親と初めて会うシーンで夕日に映える菩提樹が綺麗だったので。それから図書館の書棚の位置が大きく変わりましたね。前回公演までは、背面にドドーンとありました。


レトヴィが手を伸ばして「ルネッサンスヒューマニズム」を取り出す書棚は、階段下のデッドスペースにしつらえてあり、端の席からは死角となっておりました。それから、舞台の両サイドに小さな書棚。ただの飾りかな、と見ていたら、ちゃんとユリスモールはどちらからも本を取り出してましたね。そこにも、動きを付けた方がいい、という舞台美術の乗峯氏の意思があったとか。


まさか舞台上方からカラカラと書棚が降りてくる、なんて演出があるとは思いませんでしたけど(笑)。2階部は、柱が一部ぶつ切れていて役者の動きが見やすくなりました。それから下手に一段くらい高くなっているところがありましたね。何か演出として狙ったところがあるのか?なんて考えながら見てました。


重要な小道具である「ルネッサンスヒューマニズム」。本のサイズがかなり小ぶりになり、装丁も赤い軽そうな洋書に変わっていて、トーマの手紙も以前よりサイズが小さくなっていたと思います(まるでメモ書き、という感じ)。


芝居が始まる前、劇場へ歩み入るとトーマからの最後の遺書となる手紙が、ユリスモールのベッドにポツンと置かれていて、そこにスポットライトが当たってるのも、すごく繊細な演出でグッときました。まさに扉からユリスモールとオスカーが入ってくるのを待ってるかのような・・・こういうところがスタジオライフの油断ならぬ魅力なんですよね。


制服と紋章がまたわずかにモデルチェンジ。物販エリアで、マグカップをしげしげと眺めながら、「これって例のごとく、また買わせようとしてるのかな?」と語るライファーの言葉を聞きながら、皆同じこと考えているんだわ、と苦笑。衣装は、マイナーチャンジしていたり、ほぼ同じような印象。

【まさかあのシーンをカットとは!(驚愕)】


全体的にテンポが前回公演より、わずかにゆったりしていたのは嬉しかったです。2010年は、なんだか台詞が早口言葉になって、皆わちゃわちゃ落着きがなくて嫌だなあ、と思っていたので。それから、少しだけ台詞をカットすることで逆に辻褄が合わなくなっていたところ、を以前に戻したのが嬉しかったです。


人工呼吸のシーン、息を吹き返したユーリにホッとしてオスカーがアンテに語る「こいつは、ユーリが自分で治さなきゃならない病気なのさ。」とか。5人組が外出許可をもらって、ガールハントに行こうとしてるシーン。「あの娘、また来てるかなあ?・・・今日こそは絶対名前聞くんだ!」からエーリクの「それの何が楽しいの?」までの掛け合いが復活していてホンワカしました。


更には、エーリクがユーリにハサミで脅されて部屋を飛び出し、「オスカー、替わってよ、部屋!」と叫ぶシーンも、「あんな二重人格、もうたくさんだよ!」の台詞が復活したことで、理解し易くなりました。エーリクがヴェルナー氏と手を繋ぐシーンに流れる台詞、若手エーリク達は字幕で、及川エーリクはナレーションで。若手組、さてはあまりの棒読みで使えなかったのか?(笑)なんて勘ぐったり。


バッカスの話すサイフリートのことで、オスカーが一瞬だけ激高するシーン。オスカーに自分のタバコを勧めるバッカス、今回はタバコをすいませんでした。確かに2人共で吸い始めると、ライターを付けるタイミングもあって、ちょっと次の台詞が出るのが遅くなるんですよね。何より嫌煙家の私には嬉しかったです。


演技の違いという意味では、サイフリートに鞭打たれるシーン、松本ユーリは声を出さずに体の動きだけで表現し、サイフリートに足を踏みつけられてから、声を出していました。山本ユーリは、最初からうめき声をあげています。すごくその違いが鮮明に記憶に残りました。確かにマツシンの演技の方が、より印象的かもしれないな、と思ったところです。


そんな小さい変更点は可愛いもの。一番の衝撃は、ミュラー校長が奇跡の生還を果たし、オスカーと病床で心を通わせるシーン、がまるまるカットされてしまったこと。後半最大の見せ場、泣かせどころがバッサリ、カット。「これはないぜ~!」と客席で悶絶してました。オスカーがやっと自分の隠された壮絶な過去を語り、ミュラーへの情愛を口にしているからこそ、その後の二人の対面がすごく感動的なのに。


何のためにミュラーに演技派の曽世さんを配役したんだ!と、憤りました。なんかオスカーの想いが成就しないまま、尻切れトンボで終わってしまった気がして、ショックでした。あのシーンで流れる「Ave Verum Corpus」がまた一段とステキだというのに・・・(涙)。時間の関係なのか、ベッドの置き場がなかったのか、うーん、どうしても納得いきません。次回の再演の時には、復活して欲しいものです。


余談ですが、開場時に紀伊国屋ホール入口で、もぎりの若手劇団員が2人声を揃えて「シュロッターベッツへようこそ!」と出迎えてくれました。隠れ家風のサンモール(初めて足を踏み入れた時は、禁断の香りすらしましたから)のと違って、書店と繋がっているエリアなので、かなり恥ずかしかったのではないかしら。


でも、この声を聞くとやっぱり「トーマ」に帰ってきたのだな、と思うので、多少のむず痒さは我慢して、残していって欲しい伝統ですね。


◆2014.6.10追記:劇団公式サイトにより、昨日スタジオライフ主宰の河内喜一郎様、ご逝去の一報が。あまりに急なことで、まだ信じられない思いです。「トーマの心臓」で何度も演じられたヴェルナー役や素晴らしい選曲の数々、そして慈愛に満ちた笑顔が思い出されます。謹んでご冥福をお祈りします。


及ちゃんのブログで紹介されていたので、早速購入しました。「トーマの心臓」の制服姿の劇団員(対談メンバー:山本、及川、岩崎、青木)をアイドルの女の子がインタビューしています。なんとカラー3頁ですが、主に女役を演じる時のエピソードが中心ですね。やっぱり青木君がとっても綺麗。芳樹君のポージングはちょっと妙なんですけど、こういう一般紙に載るのは珍しいので良かったです。


Heart of Thomas

Heart of Thomas

海外サイトで見るとかなりの重厚感ある豪華本のようです。カラーページもありますし。日本版よりも購買欲をそそってしまいました。
◆2014.7.13追記:ちょっと前にやっと本が届きました。想像以上にゴージャスな装丁と大きさ、ズッシリとした重みに圧倒されました。日本版もこのくらい重厚に作って欲しいものです。


miyabi2013.hatenablog.com
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*1:「LILIES」2013のセットの変更がちょっとワタクシ的に微妙だったので・・・。