雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

スタジオライフ『夏の夜の夢』2015 観劇記

エストエンド版「夏夢」

先週末の観劇ではありましたが、まだ芝居は中日を過ぎたところ、3週間もの上演期間は結構長いですね。狭いウエストエンドに高ーいひな壇型座席を設置して、舞台のみならず客席降りのための階段や脇まで有効利用しての実験型・夏夢。スタジオライフとしても、絶対的自信作であるだけにチャレンジできたのかもしれません。


おまけに『大いなる遺産』から1か月後という短期間の上演で、両芝居共に出演している劇団員が多いだけに、その大変さは想像以上だったでしょう。なかなか次回作の発表がなかっただけに、夏まで公演無し?と心配していたのがウソのよう。


今回、休憩無し2時間10分程度に短縮し、学校めぐりの演劇鑑賞会バージョンということでした。芝居前の前説(観客の入場時間帯)で、藤原さんが経緯をいろいろと説明してくれたましたが、「学校で若い世代に演劇を見てもらいたい」という志があって、今回の「夏夢」を採算も考えず、若手チーム主体で巡演していたそうです。


その先々で、学生達のフレッシュな反応に劇団員達も大変な刺激を受けたうえ、大反響を受け興奮さめやらぬ先生達にすぐに再演を希望されてきたばかりか*1、評判を聞きつけた他の学校からも「ウチの学校でも是非やって欲しい!」とリクエストがあった、のだとか。ライフのもつ、良い意味で「演劇くさくない、説教くさくない、意外と情けに訴える浪花節(笑)」な、お芝居テイストが”ふだん演劇を見慣れていない層”に受けるのは分かる気がします。


最近、劇団所有の小劇場ウエストエンドを使用する機会が増えてきたのも、影絵の活動だけでなく、学校の芸術鑑賞という新基軸を打ち出したのも、劇団存続を考えての多角化という面もあるでしょうから、いろいろな活動を見ながら内心「頑張ってね!」と応援したりもして。


パイプ椅子すら上等という、体に大変優しくない劇場ではありますが、背もたれクッションを用意してくれたり、なんかちょっとした心配りに感心したりもしました。短縮バージョンの「夏夢」は、若干中だるみするところがなくなって、スキッと見やすくてとても良かったです。

【役者の見どころ】


先に見たOチームはベテランチーム、ということで安定したメンバーが揃っています。曽世さんのライサンダーも初演返り咲き、でしたし、松本ハーミア、関戸ヘレナは、2008年再演ぶり。私的最大の見どころは、森に迷った4人の若者達のドタバタ劇なのですが、昔は、「可愛いけど、あまり面白くなかった」印象のハーミア&ヘレナが、こんなにも成長するとは。月日の流れって、すごいものです。


関戸ヘレナが超ラブリーでした。彼特有の、硬質の通る歌声も耳に気持ち良く、出ている間中、退屈しない出来栄えで。前回はライサンダー役を演じていましたが、やっぱりヘレナの方がずっといいです。松本ハーミアは、細くても逞しさに溢れていて文字通り”筋肉美女ぶり”を発揮してくれてましたね。


若手チームの恋人達、このドタバタ劇については、まだまだの印象で残念ながらほとんど笑えなかったです。まだまだ役者としても未熟ですし、全体的に(コメディ特有の空気感を怖がらず)”間”を支配できないとかなり難しいはずなので、仕方ないのかもしれません。その分、パワーやキビキビとした身体能力で見せてくれていましたが、経験が何よりも大事でしょうから、数年後、オーッとびっくりさせて欲しいものです。


退団したさん(涙)に代わって、山崎さんのティターニア。ふくよかで嫌味を言っていても不思議と嫌な感じがしない、山崎さんの持ち味があって新鮮でした。ただ歌だけは、どうしても林さん&石飛さんのデュエットが素晴らしすぎたので・・・比べてしまうと悲しい。(これは、かつての公演を観た方なら皆思うかもしれませんが。)


私が今回一番楽しめたのは、八木澤君の豆の花。歴代の妖精達の中でも一番惚れましたねえ、歌まで上手いし、舞台度胸が半端ない。なんなんでしょう、この新人離れした感じは。将来のティターニア候補かも。(なんと現時点で体調不良のため、藤波君と共に休演なんですね、大活躍だったのに残念。早く元気になってほしいです。)


宇佐見君のハーミアの娘っぷりにも驚きました。ここ数年でヒロイン慣れしてきた、というか、動きも話し方もなかなか堂にいったもの、女形好きの私にとって、有望な娘役は嬉しい限りです。


若いのに相変わらず器用な千葉君。ディミートリアスも癖のある仕草を工夫して頑張ってましたが、欲を言えばやはりヘレナ役で見たかったなあ。案外メイクすると可愛くなってしまうのかもしれませんけど。ヘレナは、ある意味”影の主役”ですからねえ。


ライサンダー役の翔音君も最近はだいぶ肩の力が抜けたようで、いい感じになってきました。若林君も必死さが健気でなかなか頑張っていましたね。もっと笑いが的確にとれるようになるようになったら、いいかな。


フルートは、Jr.1の深山君や芳樹君という贅沢な配役でしたが、やっぱり歴代の青木君のフルートがどうしても脳裏から離れず。どちらかというと深山君のほうが気に入りましたが、どこをどうしても青木フルートしか浮かばない、ほどインパクトの強さがありました。


倉本徹さんのパックと、石飛さんのオーベロン様は、もう必須アイテムです。徹さんのアドリブも毎回楽しみで、私の見た回では、「昨日出トチリしました。」と笑っていたり、やたら飛び跳ねていると、石飛さんに「無駄な体力使いやがって。」と言われたり。


宇野さんの衣装にも慣れてきましたが、誰が演じているか分からないような濃いメイク(特に隈取のようなアイメイク)は嫌なので、前回よりは幾分薄かったかなあ。それから、毎回感動する「All Through The Night」、今回は一番感動しました。いろいろな問題が解決して、全員が幸せいっぱい満たされた表情で歌っていて。この曲を聴くと、いつも生きてて良かったな~という気分になります。


今回で4度目の再演。どんなに役者が変わっていっても、きっと変わらない、魔法のようなヒトトキを感じられる、そんな作品ですね。

*1:「今年は30周年なので来年にならないと無理なんです。」と、お断りしたものの。