雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

映画「怒り」 妻夫木聡と綾野剛の全力ラブシーンにクラクラ

役者の演技が熱すぎて疲労感に襲われるほど

半年前から宣伝でチラホラ目にしていた映画「怒り」。本日、やっと初日公開で見てきました。もともと血やグロ系が苦手で、猟奇殺人事件が題材と知っていたので、「うーん、見るかな~?」と及び腰だったのが、2週間くらい前になって一気にヒートアップ。


それは、実写BL好きの私だからという、あまり大きな声では言えない(笑)理由もあったりするのですが、妻夫木聡君と綾野剛君の体当たりの役作りに感動を覚えたからというのが大きい。


おっとヒトコト、先に言っておきますね。映画『怒り』の全体の感想は、ここであまり触れようとは思いません。李相日監督テイストは、『悪人』を見た時もそんなにしっくりとくるわけではなくて、この『怒り』でも、内心煮え切らない思いがジワジワ渦巻いているものがあります。今回もかなり痛い映画でした。なんかズシンと重いわ。。。


でもそれ以上に、ストーリー自体がスゴイのではなくて、見どころは役者がすべてという感じ。全員、主役級だけにどいつもこいつも(笑)スクリーンで映し出されるとえらく存在感があって、重厚すぎてもうトゥーマッチなのですよ。全編、格闘技見てるみたいな疲労感がありました。わずかなシーンにも目が離せない・・・という。そう、オムニバスではなく、3つの映画を同時に見ているくらいのボリュームでした。


犯人探しもあるけれど、登場人物の心の揺らぎが、説明されないまま画面に残り続けていて、心がかき乱される感じです。中でも宮崎あおいちゃんや広瀬すずちゃんの女優陣が強烈でした。女として避けられない”痛み”も分かりすぎるくらいだし。


もちろん、名優渡辺謙さんが、最終的にこの映画を締めていたのは確かでした。

安らぎと愛おしさが満ち溢れてた優馬×直人シーン


この重苦しい映画の中でも、唯一のユートピアな空気が、東京編のゲイ・ラブ・パートでした。映画が見終わって、一番爽やかだったし、一番、幸せな愛を綺麗に描いてました。これは贔屓目抜きにね(ホントか!?)。


妻夫木君については、古くは大ヒットした『ウォーターボーイズ』からインプットされていた俳優ですが、キャリアが長い分、そのゆったりとした成長に目を奪われることはそうなかった気がします。途中、大河ドラマ天地人』でかなり見ていたものの、熱烈ファンにもならず。でも、邦画好きの自分としては、コンスタントに出演作にはぶつかるという感じ。


おそらく彼はその好感度の高さから、”国民の弟”的な存在感で、ヤンチャっぽいけど真面目さが滲み出る性格や敵意をもたれない生まれ持った笑顔と品で、誰からも愛されてきた役者なんだと思います。そんな妻夫木君が演じるゲイの優馬役が予告映像の時から刺さってきて、さらにはインタビュー記事を読み聞きするうちにたまらなく興味が高まりました。


それが高じて、早く優馬に会いたい!と悶々の日々でした。ゲイ役にあれだけの下準備(新宿二丁目通い、綾野君と同居2週間等)をしているのだからそりゃあ良いだろうと予感はありましたが、映画を見たら、良いなんてもんじゃなくて、「もう妻夫木聡じゃないわ、コレ」という素晴らしいレベル。この優馬役、今まで見てきた彼の作品の中でも一番良かったです。


フェロモンは只ならぬ状態だし、生来の優しさは滲み出てくるし、可愛さの中にすごく男らしい部分が溶け出していて、ホント惚れました。(イイ男だ。)で、その女房役を務めた綾野剛君にも、ウットリ。彼って、こんなに華奢で綺麗な男の子だっけ?というくらい少年ぽくて、2人のじゃれ合いなんて、まるで純粋な少年達のように微笑ましいの。


ラブシーンも、超絶すごい綺麗でした。BL映画のように逃げてない、そしてゲイ映画のように肉弾戦でもない(笑)。程よく生々しく、程よく美しく。李監督ありがとう。そして何よりも妻夫木君と綾野君にありがとう!と言いたくなるような麗しく色っぽく、かつて見た中で最強のゲイカップルぶりでした。ベッドシーンもキスシーンも何度もあったけど、どれも無理やり感なくて自然で驚きの連続でした。


「怒り」撮影期間は、同じ部屋で濃密な空気を感じながら生活し、「本当に剛を愛していた。」と語る妻夫木君と「妻夫木さんだからこそ役を一緒に作り上げられた」と殊勝なことを言ってくれる剛君。真剣に役に向き合っている二人だからこそ、その滲み出る愛ある空気が2人のシーンには全編にわたって充満していてずっと見ていたかったです。


妻夫木君は、結婚したばかりというタイミングなので、間違っても”ソッチ”の道に行くことはないと思いますが、案外、この映画での優馬という役への達成感が大きかったから結婚を決められたのかもしれないなあ、なんて想像しておりました。独身最後の一時を、優馬役に全て注いでくれて感謝しかありません。


綾野剛君は、ちょっと得体のしれない部分がある役がピッタリで、こういう人だろうと、決めつけれらない未知数の役者でもありますね。今回インタビュー記事を読んで、「こんなに生真面目に役を考えている人なんだ。」って、驚きがありました。まあそれでなければ、あんなに主演作が続くわけないわ、というのもあるのですが、不器用そうに見えて大胆だったり、いろいろな面を持ってるところに魅力を感じました。


ビジュアル的にも、一重の切れ長の瞳が綺麗で、思わず目が引き付けられてしまいましたね。優馬がゾッコンになるのも分かる、って感じで。DVDが出たら、もうこの2人の愛のシーンは繰り返し堪能したいです。インタビューやメイキングを見るのも楽しみですし。こういう邪道な見方って、ちょっと背徳感ありますが、「剛君は、自分達のラブシーンがきっかけでもいい、一人でも多く映画を見てくれたら。」って言ってくれてたので、良しとさせてもらおう。


最後にハッテン場ってあんな風になってるんだ~と、密かに社会勉強になりました。妻夫木君や綾野君レベルの男性があんなに無造作にいたらすごすぎだろうな。


※と、能天気にまとめてしまいましたが、1日経ってまだずーっと引きずってますね。映画全体がクルクル廻ってて、異様に残ってます。やっぱり衝撃作なんでしょうね。ちょっと拾っただけでも、ネット記事もいっぱいありましたので、次回にまとめページ作ります。

miyabi2013.hatenablog.com
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書籍関連

婦人公論 2016年 9/13 号 [雑誌]

婦人公論 2016年 9/13 号 [雑誌]

この狙いすぎた表紙、スゴイわ、と思いつつ購入しました。役作りのために二人で暮らした、ということを率直に話してくれてるところにシビレまくりでした。

ピクトアップ 2016年 10 月号 [雑誌]

ピクトアップ 2016年 10 月号 [雑誌]

「怒り」巻頭特集の雑誌です。これだけの役者が全員揃って登場というのが少ないので貴重です。

BAILA(バイラ) 2016年 10 月号 [雑誌]

BAILA(バイラ) 2016年 10 月号 [雑誌]

妻夫木&綾野コンビのがっつりインタビューで、写真も良かったものを購入しました。

怒り(上) (中公文庫)

怒り(上) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)

原作本です。

作家吉田修一さんが、原作に追加したエピソードや「怒り」撮影現場をルポした記事などをまとめています。ラストにあった妻夫木君との対談が一番の見どころでした。試写会後に、他の役者の演技に衝撃を受ける妻夫木君や自分の演技を見て弱音を吐く綾野君の言葉などを知れてお得でした。

小説 - BOC - 3

小説 - BOC - 3

吉田修一さんと綾野剛君のロングインタビューが巻末にあります。意外と長くて読み応えがありました。「横道世之介」加藤役と「怒り」直人役を併せて思いを吐露する剛君、魅力的です。