あまりに続編でした
いつものごとく、2週間も前の観劇を今になっておこす状況になっております。いやもう、遅すぎですって(笑)。自分でも分かってるんですけどね。多分ものすごく感動していたら、少しは早く書きたくなるのでしょうけど、今回のお芝居には「不満はないものの、そこまででもないかな」という、微妙な感覚でした。
コミックの原作では「残骸踏む音」「そして門の鍵」にあたる作品を脚色しているんですね。そして、前作の舞台でもスポットを当てていたグレアム(息子への過剰な愛がDVとなるピアニスト父との関係)とアンジー(母であり有名女優のイブ・ホーンとの愛憎)の家族関係を軸にしていました。
確かに正統な続編としては、この脚本は間違っていないかも。倉田さんの原作への溢れるような敬愛が感じられます。ただ、このペースでいくとはみだしっ子の続編は、少なくてもあと3回くらい必要か(苦笑)と思われるですね。
原作最大の見せどころである雪山事件を暗示させる終わり方だったので、そこは是非舞台化まで運んで欲しいけれど、雪山後バラバラとなってしまう4人の物語もすっごく見どころあるし、養父母として引き取られるところもすごく素敵だし、どこを切り取っても素晴らしい話なので、途中で終わるのはツライ。
しかし、集客が落ちている今*1なので、一抹の不安も残ります。今回は前作とセットも同じ、衣装も同じと、かなり節約して安上がりに作っていた感もありましたので、なんか目新しさもあまり感じなかったですし、前回ほどの感動もなく、アッサリ終わってしまった気がしました。
前作を見ていなくても楽しめるようにはなっていましたが、親に虐待された4人の少年達が家出して彼らを愛してくれる新しい家族を放浪している、傷つきいたわり合いながら絆を深めている、という細かい設定はやっぱり1作目を見ていないと伝わりにくいかもしれません。
キャストについて
今回、主人公4人を演じるキャストは、前回と全く同じでトリプルキャスト。やっぱりトリプルは多すぎだなあ、と感じました。単純に連続3回観劇するのが体力的にツライというのもありますが、なんかバラけてしまってチケット的にもメリットないかも。
今回卒業する岩崎大ちゃんのグレアムは結構好きだったので、そこは少し寂しいのですが、今回大ちゃんはシドニー役が最高にイケていたので、そちらに目を奪われてしまったのでいいか。久保グレアムは苦悩型で、仲原グレアムはとにかく優しさ全開。
一方、はみだしっ子で一番人気のアンジー役。ご贔屓の宇佐見アンジーは、可愛くていじらしい。でも、やっぱり松本アンジーがトータルバランスは一番イイと思いました。前回同様、TBCチームが1番好きですね。
伊藤マックスのピュアで無垢な感じは、ものすごく気に入ってます。ただこの子、台詞をいう時、まだまだ身体の動きが硬くて両手がいつもまっすぐ下がったままなんですよねえ。若いのに台詞まわしに情感が入ってるところは感心してるのですが、まだちょっと新人ぽさがあります。
前作に引き続き、サーニンは千葉君、完全推し(笑)。もう漫画から抜け出たような存在感。ちょっと顔が長めですけど、もう雰囲気がサーニンそのもので、原作ファンの方にも安心して見せられると思います。今回、粗削りな澤井サーニンも良かったです。
家出娘をコトバ巧みに騙して裏稼業を営むおばさんケイトは、緒方君がさすがの貫録で魅せてくれました。吉成君のメイは、今回も少ない出番にも限らず強烈な個性が光っていて吉成節健在。
吉成君のちょっと何考えてるか分からない不思議少女役が本当に面白い。コミカルキャラではないのですが、鼻にかかった独特ののびる声ですごい目立ちますし、女役は見ていてすごく楽しい。宇佐見・吉成・伊藤と若手3人娘(?)が最近のお気に入りです。
船戸さんのグレアム父も安定のSキャラぶりがさえわたっていました。前作で亡くなってしまった、曽世さん演じる「おばちゃま」がいたらなあ、とは思いましたけど。エイダは、松本・宇佐見どちらも素敵で、また再会できて嬉しかったですね。
何度も言いますが、今回最も胸躍ったのは、大ちゃん演じる、シドニー・マーチン。長髪ウィッグが長身に生えて、久しぶりにクラクラくる格好良さ。でも、そこは大ちゃんなので、そこはかとなく笑わせてくれるキャラ仕上がりになっています。キザで自惚れが強いけど、館に幽閉されて幽霊のように生きているシドニー。
少年達の力を借りて、見えないマーチン家の呪縛から脱出しようとしている。原作通りとはいえ、あまりに唐突に出てくるのでなんかここだけフィクションくささ全開ですけど、大ちゃんのガナリ芝居がかなり好物なので、ワクワクしちゃいました。次回、雪山事件、本当に見たい!!あと何年先になるのでしょうか。
そして次回は、(2001年以来だから)17年ぶりの『Happy Families』。すごく、ズシッとくる見ごたえある作品です。1つの家庭を通して、同性愛カップルと親子関係を扱った作品。今でもきっと古さを感じないと思うので楽しみです。
本日はBUSチーム、TBCチームの千秋楽にご来場いただき本当にありがとうございます!
— 伊藤清之 (@itokiyoyuki) 2018年10月20日
ソワレの舞台挨拶では言いたいことがまとまらずすみません、でも聞いて下さりありがとうございます…!
明日の東京千秋楽、TRKチームも精一杯やりきます、是非ご来場下さい#はみだしっ子#スタジオライフ pic.twitter.com/LziIgH3HiR
大阪まで、さよなら シドニー♬ pic.twitter.com/7yVzxncB0u
— 岩﨑大 (@daiiwasaki) 2018年10月20日