雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

劇場版おっさんずラブ 映画の感想

ネタバレ上等!!

8/23に上映開始して約2週間、ゆく夏を惜しむように、早くも終盤に差し掛かってる(?)「劇場版おっさんずラブ」の感想をネタバレ満載で書きます。この映画、自分的に、最高→がっかり→昇華を繰り返してて、1週間くらいまでは結構しんどかったです。


いや始まる前から、チケット争奪戦やらグッズ・雑誌大量販売やら番宣の嵐やら、オタク心をかき乱す事案多数発生していたんですけどね。映画が始まると始まる前の狂想曲状態が懐かしい~、あの頃に戻りたいかも、って感じで。


一言で語ると、典型的な「人気ドラマの映画化」で、それ以上でもそれ以下でもなかったのが非常に残念だった部分。ただし、人物像が大幅にブレることもなく、キャストの魅力もあいまって「変わらないからこその良さ」も充分味わえる。


香港の無駄なアクションシーンや爆破シーンという、一般客寄せ的な(?)な話題作りについては、それなりに楽しめたクチなので良いのですが、薄っぺらーいお仕事ドラマ部分の描き方の粗さは、何度も見るうちに辟易してしまいました。


本社の狸穴部長が牧を誘って結成した「Genius7」、最初に映画に波瀾を巻き起こす設定なのですが、リゾート開発ネタをぶっこみ、地上げだの古くからの店舗主の立ち退きだのあるあるネタのオンパレード。それを未消化なうちに回収して、最後は春田の拉致監禁につなげるという無茶な設定。


まあ、ドラマ当時から「企業ドラマ」なんてちゃんと描こうとしてなかったし、視聴者が求めるものの「島耕作」やら「半沢直樹」じゃないわけなので、そこに少ない上映時間を割かないで欲しかったです。最初から芯となるストーリーが破綻してるんですもの。


よって主人公の当て馬として登場する狸穴(沢村一樹)やジャスティス(志尊淳)の存在意義が今一つ強くないんですね。それでもお二人の演技はさすがに見ごたえあって、キャラクター以上の魅力を醸し出してくれました。


ただね、長いんですよ、ゲストの持ち時間が。この間、レギュラー陣の時間がどんだけ削られたか。特に最後のほうの狸穴さんの過去話、うどん屋の息子設定いる?いらないよね?この5分で春田と牧の指輪交換入れられるよね。


映画を期待した人達の多くは、春田と牧の恋愛模様をもっと見たかったはずですし、武川さんやマロ、ちずやまいまい、鉄平兄にももっと会いたかったはず。それに武川さんから部長への片思いって誰得!?幸せにはなって欲しかったけど、映画見ながら「そこじゃないだろう!!」って、ツッコミ入れてた人はわたしだけじゃないはず。


ドラマのときも、決して扱いが良かったわけではないですが、要所を締めてくれていた人気キャラだけに、作り手の悪ノリが出て、一番被害を被ったキャラクターになってしまいました。武川リベンジだけは、絶対やるべきだと思っています。


春田は全編通して出ているけど、なんだかキャラを利用して都合よく回して遊んでるだけ、って無駄なシーン多すぎました。ドラマの時のオーバーな顔芸も、若干多すぎかな、と思いました。圭君自身も「これが春田だよね」って確かめながら演じているような。。。


私は、春田と牧のほのぼの食卓シーンなんて別になくても構わないってクチではりますが(そんなシーンは「きのう何食べた?」で十分)、それでも指輪を渡すシーンやら二人の関係性の場面はもっと丁寧に描けたはず、という気がするんですね。


制作者サイドに「OLファンの望む裏をかきたい」「映画的な場面の盛り込みで一般人取り込みを狙いたい」という、欲と迷いが見え隠れしていてそれがふわふわと漂ってるんです。場面ひとつひとつは、ストイックで面白いのですが、繋がりが雑でぶつ切り状態。


最終的には牧のシンガポール出向と日本に残る春田の別れ、という少しだけ続編への期待を感じさせて終わる、という流れも、「完結編」と銘打ってるのに往生際が悪いし。やっぱり書き込むべき場面を削り、不要な場面を入れ過ぎたことのバランスの悪さが映画を駄作スレスレの完成度に貶めてる気がしてなりません。

じゃあ不満かと申せばそうでもない


じゃもうyahooレビューの酷評なみにこき下ろすだけか、というとそんなことはないです。だれにでもオープン・ザ・マインドの優しい世界観は、この映画にも健在。それは主に、はるたん役の田中圭を含めレギュラー陣やスタッフの頑張りに他ありません。


まず最初に心を奪われたのは、連続ドラマのあらすじをまとめた冒頭の1分くらいかな、編集ワザですね。凝縮した映画の名場面をでっかい台詞文字と共にドカーンと描写、極限までコマ数をカットしてあっという間にストーリーを紹介。そこに連ドラ1話を象徴する川と桜とはるたん。


ファンとしてはもう胸アツ、嫌がおうにも盛り上がる場面でした。ドラマの続きの映画って、初心者にはそれだけでもハードルが高いけれど、このシャレた演出効果でドラマと映画の狭間を違和感なく受け取れると思います。


香港アパートに訪問してきた牧に抱きつく、春田の無邪気な様は、ドラマでの立ち位置とは真逆で男同士への恋もしっかり消化しきって、牧への愛に溺れてる姿を可愛らしく描写してくれてます。全編を通して春田のラブラブ感は高まっていて、トキメキ度UP!


きんぴら橋でアドリブしかけまくりの林遣都。ひたすら幸せ感ありまくりの笑顔と翻弄される春田に目がハート。花火シーンだって、自然すぎる二人の視線の交わし合いに、柔らかな恋の物語が詰め込まれていてすごく胸躍りました。


遣都君は、「おっさんずラブ」終了後は、この大ヒットドラマから距離を置きたいのか、あまり感想を語りませんでした。プロフィールの代表作からも外し、我が道を行きすぎたために、一時は「そんなに牧役が嫌だったの?」といらぬ(一部で)疑念や批判を浴びた人とは思えない。


春田と牧が喧嘩する、ギスギスシーンが多い、って巷の声には私は同意できません。愛し合ってるからこそのぶつかり合い、すれ違いだから、ラブラブシーンよりも見せ場がありました。究極は爆破シーン。


命の危険を顧みず、春田を助けに来た牧と炎の中で愛の告白シーンがあります。「どんなに見た目が変わろうとずっと君だけを愛す。」という本心さらけ出した春田に、言葉少なくも共鳴し合う牧。このシーンがあっただけでも映画化は失敗ではなかったですし、宝物シーンです。


エンドロール開け、真のラストシーン、あの甘酸っぱい春田から牧へのキスシーンは、連ドラからずっと見たいと願っていたシーンでした。あるということはなんとなく聞こえていたのですが、まさかあんなにも違和感なく自然に出てくるとは!田中圭おそるべし。


おっさんずラブ」からのファンでもあり、普段恋愛モノもBL実写を主に見てるため、圭君がどんな売れっ子女優とキスしようが全く「屁とも思わない」私ですが、このキスシーンだけは別格です。いや、牧とのキスシーンは連ドラから大好物ではありましたけど。


男同士って、ノンケ俳優にとっては、すごいハードルが高かったはずですし、実際そういうコメントは圭君からも何度か聞いてるのに、何なのアナタ、嘘でしょ、ソレ(笑)。(まあ、あれは、はるたんと牧だからこそ、って言いかえられたりもしますけど。)


サウナシーンの男5人わちゃわちゃ、爆破シーンの牧と部長のシーンも何度リピートしても面白いですし。やっぱり黒澤武蔵、無双!!吉田鋼太郎あってのおっさんずラブ、というくらい安定の面白さでした。


むしろ、ストーカー化してなくもない連ドラよりも、記憶喪失という無茶設定なのにルンルンで演じていた(?)部長こそ、この映画のキーマンだったかもしれません。おっさんずラブ、名作と迷作の間の実に難しい3.8点くらいを行き来する出来栄えでした。


春田監禁シーンからは、まさに踊る大捜査線」オマージュ。天空不動産メンバーと春田の掛け合いとかボケとか、お台場フジテレビ感満載。これは、無意識なのか意識的なのか既視感あり。まあいろいろと惜しいところは山ほどありますが、素晴らしいところも探せばいっぱいあります。

続編はさらに難しく、田中圭も次のステージへ


昨日の「あなたの番です」番宣で、ベリーショートヘアとなった圭君を見て、10月のドラマ続編は消えたのだな*1、と実感しました。ないならないでちょっと残念。「2019年度中に続編を」というテレビ朝日上層部の年頭挨拶のおかげで、モヤモヤをいだきながらの数ヶ月。


1月に仕切り直しでドラマ化の可能性もまだまだ残っています。とはいえ天空不動産を舞台にした、今回のレギュラー陣は再登壇しないでしょう。可能性としては、田中圭VS〇〇〇なのかもしれないし、一新されたキャストにもなるかもしれません。


鋼太郎さん級の演技達者なおっさんが加わらないと、全然笑えない、痛いだけのドラマにもなりそうですし、2018年版が大ヒットしただけにかえってハイリスクなドラマなことは明白。なんせ「二匹目のどじょう」って狙ってできるものじゃありませんからね。


圭君の発言も二転三転してますね。春田はやってもいいけど、お膳立てが完璧でなくて、脚本もまずければ、リスクを負ってまでやる必要はない、という考えに思えます。ただし、「あな番」がかろうじてヒットしたとはいえ、映画もドラマとも今後当たるとは限りません。


こんなに田中圭が好きな私でも、圭君が脇役の映画「美人が婚活してみたら」や「記憶にございません」(三谷幸喜さんのコメディ苦手でどれも好みじゃない。)には一ミリの興味もわかず、テレビ放映でいいや、と切り捨てるくらいですしね。


短髪の圭君見て、正直言って雑誌の購買意欲ちょっと下がりました。もう少し、短髪が落ち着いて見慣れてくれば違うでしょうけど、無名の香港スターみたいで「誰これ?」な状態の圭君に、「OL祭り」の終焉も感じて、一気にボルテージが下がる。


単発ドラマに向けて、ということのようですが、戦争モノでもやるのかな。あるいはお堅い職業系?いずれにしても、そろそろ男女の恋愛どうの、って作品からは退いていきそうですし。若いイケメン俳優が山ほどいるので、そこは需要もうあまり無さそう。


いつまでも、はるたん、でいて」とは思いませんが、役者が思うほどファンって何でもアナタが一番、って受け入れるわけじゃないと思います。バイオリズムにも強弱があって、やっぱり心ときめくものには集中するっていうだけ。


そして、「おっさんずラブ」抽選イベントにはことごとく落ち続け、恨みと怨嗟で悪い気を背負っていた私。もちろん、いつかはナマで田中圭トークショーに参加を願っておりますが、「おっさんずラブ」でない限りは、そこまで肩の力は入りません。


自然にテンション下げて、無理なく無駄なく応援していきますよ。当然ながら浮気もバンバンします(笑)。綾野剛も、ようやく映画始動したからね、秋以降は「綾野くーん!」って感じかもしれません。


劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~ シナリオブック

劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~ シナリオブック

  • 作者:徳尾 浩司
  • 発売日: 2019/08/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

*1:ところがどっこいSeason2は10月期、たぶん11月放映開始予定とのこと。