雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

誰が「おっさんずラブ in the sky 」を殺したか

まさかの騙し討ち?トンデモ結末に茫然自失

12月21日最終回(第8話)。いやいや、まさか前作「おっさんずラブ」(略:不動産編)から相当物議を醸した世界線変更の「おっさんずラブ in the sky」(略:スカイ編)に、こんな仕打ちを受けるとは思ってませんでした。


思えば3か月前、不動産編のキャスト交代でのファン大荒れ事件を若干他人事として見ていたのですが、今じゃ暴れまくる己の怒り心頭ぶりに「もしかして同じじゃないの?」と苦笑してしまう状態。あれからもう数日経ち、そろそろ怒り疲れてきた頃。


元はといえば、黒澤武蔵(吉田鋼太郎)ENDのラストシーンが元凶。主人公・春田がヘリポートに黒澤を呼び出して愛の告白をする、そして見事ハッピーエンド、って嘘だろ~!という展開を見せたんです。


テレビ朝日ロゴマークが出てきた時には頭を抱えました。どう見ても春田が年下の美形パイロット、成瀬(千葉雄大)に向ける「愛」が強すぎて、成瀬の想い人が四宮(戸次重幸)と気づいても二人の関係性が恋人にしか見えない。


だからこそ四宮を振って、成瀬の想いを捨てきれない(一方で他の男への恋路を応援する)春田が、その報われない想いでセンチメンタルモード全開というセンシティブな動向を息をのんで追っていたわけです。


振り返ってみれば、ずっと「当て馬」と思われていたコメディ担当部門黒澤機長が、最初から何度も春田へアプローチしつつ振られ、春田に好意を寄せる娘・緋夏の幸せを思って身を引いたりかき乱しておりました。


不動産編にはなかった武蔵のモノローグや曼荼羅ショット、小さいオッサン化、と演出はなりふり構わず妙に凝ったり派手だったり、卓球大会や相撲合戦など黒澤主導で場面を動かして「ザ・おっさんずラブ」な見せ場も作ってました。


思えばそれがラストへの伏線だったのか。。。もう一人の主役としてね。いやね、でもそれを持ってしても、なぜにスカイ編を最終回の10分前エンディングでこんなにも前代未聞の駄作にしやがったのか、と怒りはくすぶってます。


いやあ、見事に予想を裏切られ過ぎて、ノックアウトされました。身内感覚で(大袈裟かもしれないですけど)こんな視聴者を舐めきったことやられたら、日本のテレビドラマ界にはちっとも良くない。


圭君やOLスタッフがチーム一丸となって2016年の単発からこのブームを牽引してきたことには敬意を表しております。だからこそ、こんな騙し討ちとしか思えないオチをつけられたら、「甘えるのも大概にせい」って言いたくもなる。


まして当初から武蔵ENDが決まっていた、なんて言ったら相当タチが悪いわけで。まあ、不動産編から1年半の間に映画や続編ドラマとテレビ朝日のいいように働かされ続けていたわけで、そういう時間の無さなども裏にはあったんだと思いますよ。

独断的、in the sky謀殺ポイント

OLファン界隈のいろいろな噂や個人的な推察を元に、勝手に考察してみました。あくまでやり場のない気持ちを落ち着かせるための内容であり、想像の域を超えてません。

【考察1.仕組まれた春田×武蔵エンディング】

武蔵エンディングは、ドラマ企画当初から決まっていた、という驚愕の事実を知りました。勿論、主演へのオファー自体もそれが前提で、途中からの春田愛のベクトル変更はできなかったという話。


どおりでキャストのインタビューでも、明かされないトップシークレット扱いになんだかモヤモヤしたわけです。メインキャスト4人が最終回が近づくにつれ、ギリギリラインで匂わせてはくれるものの、「納得の路線」とか「きっと驚くはずです」とかどっちともとれる曖昧な表現があったわけだ。


キャストが悪いわけでは全然ありません。脚本をもらいながら「こんなに武蔵と春田の描写がないのに、これで大丈夫なの?」という不安とストレスは、圭君も千葉雄大君もものすごかったんじゃないか、と思います。


まさに闘う相手は身内にあった、というわけです。数多くのドラマを経験していて、気まぐれな視聴者の意向なども分かってるでしょうし、エゴサーチをする俳優も多い中で、ファンの熱と期待が高まるにつれ、どれだけのプレッシャーだったでしょう。


おっさんずラブ」って果たしてミステリーとかサスペンスドラマだったっけ?愛のドラマですよね。ならたとえ望まぬ結末であってもちゃんと「真摯な愛」で貫くべきじゃないでしょうか。


伏線殆ど無し状態で、カップリングが最終的な相手が残り10分で判明するなんて前代未聞の珍事です。視聴者をあっと驚かせるミステリーであっても絶対やってはいけない禁じ手で、それをラブストーリーでやられたのだから半端ない裏切りへの怒り、虚脱感、絶望感に繋がりました。


近年、ここまで愛されたドラマでここまで残酷な掌返しをした事例を私は知りません。どちらかというと、視聴者の意見や意向なんて聞かないのがアーティストの独自性、という考えに賛成派の私でも、ですよ。


それはあくまでも作り手の誠意を信じているから、に他なりません。無料で楽しんでる、たかがドラマだとして、こっちだって真剣に心を傾けて見てるわけです。こっちは命がけで見てるんだ、責任者出てこい!って怒鳴りたい気持ちです。

【考察2.春田×成瀬と見せかけてドラマ視聴率をあげたい制作側の意図】

なぜ、ここまで武蔵ENDを隠さなければいけなかったか。それは、もちろん視聴率や諸々の反響のため、グッズ類の売り上げのためです。こんなの小学生でも分かる当然の理ですよね。


残念ながら、春田の最愛の相手が武蔵じゃダメだったのです。BLドラマとして、60歳近い、本当の「おっさん」(というかお爺さんに近い)との恋愛って楽しんで見られますか?ビジュアル的に相当厳しいのは確かです。


シーズン1の不動産編の結婚式シーンで、教会で式を挙げようとする部長と春田のタキシードシーンを思い出します(あれでさえ結構辛かった)。鋼太郎さん、ごめんなさい、私はやっぱり若いイケメン達でこそファンタジーとしての夢を見られるんです。


「きのう、何食べた?」という中年ゲイ2人のドラマが淡々とした日常をなぞっていて好評だったのと異なり、おっさんずラブは恋愛が主軸。春田へ向けた、武蔵のギラギラ感は獲物を狙うハイエナのような部分があり、ちょっと怖さを感じていたくらい。


春田から武蔵への直接的な愛のシーンがもっと入ってないと、あのラストの春田から武蔵への愛の告白はどうあがいても無理なのに、そのシーンを入れるのは並大抵ではない。それを考えるとバッサリと無かったことにする、しかなかったのでしょう。


それはもう、ホント「わかるんだけどさ、そんな大人の事情」って感じです。ならば何故、そんな誰も幸せにしないイバラの道を選んだの?って。悲しく虚しくなる一方です。

【考察3.金の生る木に成長したコンテンツ】

とはいえ、当て馬やコメディ部分で吉田鋼太郎さんの力は借りたい、あくまで2016単発ドラマ以来、田中圭吉田鋼太郎が揃っての「おっさんずラブ」です。たとえ圭君だけを主役に置きたくても、鋼太郎さんとセットでなければ圭君自身が、絶対にオファーは受けないでしょう。


そしてOLチームは、スタッフ・キャスト共に、期待されずに始まった連ドラ(シーズン1)以来の共に戦ってきた戦友でもある。2018年6月に終わったこの連ドラ以降、想定外の爆発的な人気が生まれました。


テレビ朝日の看板を支える金銭的な勢いと斬新ニューウェーブドラマとしての魅力を見込まれて、そこから劇場版、シーズン2とわずか1年あまりの間に怒涛の露出が始まりました。


主演の田中圭君はじめ、脇役キャストに至るまで注目され、以前よりも沢山の仕事が増え、主演などチャンスにも繋がっていく。それは、私達OL民(ファン)が支えたのよ、と一種のカタルシスすら感じるほどの奇跡的な大成功でした。


それゆえ、OLは新たなハイエナの餌になってしまった。視聴率こそほどほどでも、グッズを出せばそれなりに売れる、話題性もあって女性ファンも多い、この不景気に引手あまた、ひっぱりだこ状態です。


それゆえスカイ編は初めから破格の待遇でした。大手スポンサーであるピーチ航空の全面協力があり、CMは大手スポンサーが次々投入されていました。話題性抜群、明らかにドル箱コンテンツ扱いです。


キャストも初めから知られている人気俳優を呼び込めました。でも、全てが良かったか、と言ったらそうではありません。どんなドラマよりも無茶苦茶ハードスケジュールの中、映画や続編が作られる現場って地獄かもしれません。


おのずと一作一作のクオリティは下がっていく。馬車馬のように働かされ、主演にも関わらず掛け持ちを続けていた圭君にとって、時間をかけてキャストと触れ合い、チームの一体感と結束を作って高めあえたシーズン1の現場とは全く違ったと思います。


当然、ストーリー展開のチグハグさ、脚本の粗や雑さなども目立ってきてました。スカイ編は、確かにOLの限界を感じさせた散らかり具合で、ドラマとしての没入度が少し低かったのも事実。


圭君も鋼太郎さんもパラレルワールドで、キャスト一新、新しい世界観の中で転生しながらドラマを続けていくことに悩みもあったのではないか、と思われます。最初圭君が春田役を「降りよう」と思っていたぐらいですからね。


どれだけ過酷な注文だったか、想像がつきます。ましては、シリーズ化を狙ってまだまだ稼がせようというテレビ局の大きな野望が裏にありますし。前作とは比べ物にならないほど人やお金も動く。

【考察4.荷が重く打ち止めにしたかったであろう続編】

当初「純粋に面白いドラマを作ろう!」という楽しんで作り上げた作品も、あまりに余裕のない納期っぷりには匙を投げたくなったのではないかと思います。このドラマ、無理難題言うテレビ局に対しての現場の「内部テロ」の可能性すらあり得ます。


一方で、圭君はずっと続編やるより「同じメンツ(キャスト・スタッフ)で新しい企画をしたい」と強く願っています。スカイ編オンエア前に「おっさんずラブを終わらせるつもりでやります。」と豪語していました。


それこそが、今回の武蔵ENDの答え合わせか、と。「いい加減、もう同じことの繰り返しをやっていても無理だから、新しい作品やろうよ!」というのが本心なのでしょうね。(圭君サイドも、押しも押されぬ主演俳優へと変貌した圭君に春田ばかりやらせるのはどうか、という気持ちもあるかもしれません。)


それには、どうしても武蔵ENDでなければならない、「完結」というのはそういうことだ、というOL界での共通認識でした。私もOL民の端くれ、充分理解はできるのですが、そういう身内のロジックに、ファンでもない一般視聴者や外国人ファンなどの一見さんはどう思うか。


「そんなの、アンタ達のご都合主義になんて知らないわ、作品としてちゃんと作ってくれよ!!」が当然じゃないでしょうか。あくまで1つのラブストーリー作品として納得できるクオリティは大前提じゃないのか、ってことです。


日本のテレビドラマがいつまでたっても世界市場に乗り出せない、融通が利かないのは、国内マーケティング力の弱さや「この程度でも許してね」という作り手側の詰めの甘さなのではないか、と思ってしまうのです。

【考察5.春田は成瀬を本当に愛してしまった(役者魂は止められない)】

脚本に書かれた、春田から成瀬への愛のアプローチ、四宮から春田&成瀬から四宮への切ない愛。真剣に向き合って愛をぶつけ合って、ストーリーが進むにつれ、どんどん高まっていく想い。


もともと男同士であっても「愛のドラマ」なんですからね、それは役者としては技術だけで見せるのではなく、そこに心が入っていくのは当然です。どんどん色気を増す(笑)成瀬だったり、これ以上ないほどイケメンになっていく春田に惹き付けられました。


たとえ春田と成瀬が結ばれないとしても、その過程に嘘は無かったんだ、と思います。BL的な興味ではなく、役者同士も絆を深め、理解し合って作り上げようとする、座長圭君の手腕でもあります。


そして巻き込む力が半端ない(あくまで想像ですが)優秀なスタッフ達。魅力的なキャスト同士の相乗効果もあり、ラストがどうであれ、突き進んでいってしまったのでしょう。これこそ悲劇の始まり。


しかし、収まりの悪いエンディングが変わることだけはとうとうなかった。お金も強力な発言力もまだまだ現場にはなかったんだと思います。そして、作り上げた脚本を書き換えるだけの時間もなかった。

【考察6.本当は成瀬×四宮を主役にしたかった】

実はあの中途半端な劇場版の時も思っていました。人気俳優の途中投入があり、作品の軸がブレブレになっていく癖。どうしても、役者?への忖度として余分な見せ場を追加しないといけないために、本来のストーリーが散漫になってしまうというジレンマ。


全体を通して、武蔵はもちろん、主役であるはずの春田の出番が少なかったのが気になりました。まして、春田の家族関係も不明、成瀬の父親との確執はすべて台詞で言い表され、かと思えば不必要に長い四宮の別れた妻子の話(5話)があり。


「これ一体、誰が主役のドラマ?」って感じでした。更に最終回完了後のスピンオフとはいえ、しっかり本編のその後が描かれた四宮×成瀬コンビと異なり、春田と武蔵はバラバラのシーンにチラッとゲスト出演程度。


恋人関係は続いてるとしてもどんな状況かすら不明でした。本編で、最も繊細な人格の変化を描かれたのは成瀬でした。本当は、この四宮・成瀬、この2人をメインに(売り出しも兼ねて)ラブストーリーを作りたかったのでしょう。


但し、それには知名度や演技力共にリスクが高すぎるのです。どうしても、「おっさんずラブ」のネームバリューと田中圭の人気・話題性が欲しかった。普通よほどの人気ドラマなら、番外編として成立させようとするのでしょうが、そこまで育ち切ったコンテンツでもない。


そして、いつ賞味期限が切れるかどうか分からないBLドラマにそこまで手をかけてる暇はない、というのがテレビ局の思惑と感じております。今、圭君も35歳。鋼太郎さんはもうすぐ60歳。年齢的にもそこまで続編を重ねていけるとは思えないのが悲しいかな、事実です。


恐らく数年後、「おっさんずラブ」は別の俳優同士の組み合わせで復活してくるのではないでしょうか。私は「元祖・おっさんずラブ」として今回の失敗をリベンジして欲しいのはヤマヤマなんですがそれが難しいのも同時に知ってます。

【考察7.怒らないファン達の優しい世界に蝕まれる】

OLファンの特徴としては、圭君の「優しい世界」を座右の銘にして炎上回避をめざそうとするところかと思います。まあ、もちろん、暴言が飛び交うネット界隈で炎上が好ましい、とは思いません。


9/27の続編発表のときに、OLファンを2分割しての大炎上が起こり、その後のスカイ編の売り出しにどれほどのブレーキがかかったか。俳優やスタッフ、公式にまで及んだ暴動の火は今なお「過激派化」したファンと共に燻っています。


ドラマ上想定されたカップリングの違いだけでもバトルが繰り広げられる、なんて腐女子界隈の事実を身に染みて知ったのは、このOLに触れてから、でした。オンエア中ならともかく、終了後まで後を引く怖さ(ブルブル)。


私は、正直言って、武蔵以外なら誰が春田の相手でも良かったです。なんなら独りぼっちで終わっても、それこそ獅子丸怜二(山崎育三郎)にかっさらわれたらもっと嬉しかったかもしれません(笑)。


どうしても武蔵というなら、せめて好きになる経緯を見せてくださいよ、という感じで。決して、炎上や暴言をしろ、とは思いませんが、今回だけは本気で怒っていい案件だと思うのです。


「アナタ達、視聴者舐めすぎでしょ」って。


役者達の努力には、ありがとうの言葉しかありません。ただ、そうかといってエクスキューズにはならないんです。こんな裏切り行為を当たり前にやられていたら、良いコンテンツなんて絶対育ちません。


折角、このドラマで大きく飛躍するはずだった役者達にも、すごいマイナス効果になりますし、スポンサーにだって、もっと売れるはずだったグッズや出版物にだった多大な影響を与えます。


そして没落するコンテンツになってしまう、おっさんずラブ。それをぬるい賛辞で傷を舐め合うのは虚しい。いや、本当にキャストとスタッフには感謝しかない、私だってそうです。だから悲しいのです。

【考察8.誰が「おっさんずラブ in the sky 」を殺したのか】

誰が首謀者か、なんて勿論分かりませんが、制作サイドには違いないでしょう。そこに悪意は無かったとはいえ、甘い見通しのまま結末を固めてしまったことでのこの大惨事。取り返しのつかない大失敗です。


キャストの好演もあって、8話中盤までそれなりに切ない良きラブドラマだったのが、一気に駄作へ転がり落ちてゆく。なんという悲劇でしょう。虚しくて悲しくて、責任を感じて謝ってくれる圭君にもなんだか申し訳なくて。。。


シーズン1の一部過激ファンは、「それ見たことか」と拍手しているようですが、それはあなた方も無関係ではないのよ、と。コンテンツ自体が忘れられた作品となれば、急速に尻すぼみをしていくわけですから。

【モンスターになった「おっさんずラブ」】

今回の件で「おっさんずラブ」というドラマは、「つくづくモンスターになったんだな」と思いました。奇跡の大成功を収めて、キャスト達には名声と新しい仕事を与え、テレビ局には大量の収益を与えました。


それによって旨味を知った、数多くのハイエナが群がってきている。いろんな思惑でモンスターを利用しようとしている。ところが誰も乗りこなせないんです。それどころか、バクバクと喰われてしまった。


このモンスターは、これからどこへ行こうとしているのでしょうか。たった一つ、モンスターに魅了されてしまった人達は、やっぱりモンスターを追い求めてしまうしかないのでしょう。


愛してるし、憎んでるよ。でもまた会おうぜ、モンスター。
それまで餌は、ちゃんと確保しておくからね。


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