雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

「おっさんずラブ」の弔い合戦か? ドラマ「あのときキスをしておけば」

裏に見え隠れする、夢よ再び、の想い

テレ朝、金曜ドラマ「あのときキスをしておけば」。一応、今回の春ドラマで唯一毎週見ているドラマです。(あとは大河ドラマ「青天を衝け」だけ)始まる前にかなり期待していたし、確かに他のドラマよりは楽しんでおります。


でもね、やっぱりのめり込むほどにはハマりきれなかった、です。松坂桃李君が気弱だけど真っ直ぐな主役モモチ、想いを寄せる年上美女・巴役に麻生久美子さん、とりかえばやとなる暗いオッサン田中マサオに井浦新さん、巴の元旦那高見沢に三浦翔平君を揃えてます。


それぞれなかなか考えられたキャスティングで派手さはないけど安定感のある演技派の役者ばかり。シナリオもすごく良い・・・てわけではないけど(失礼)そこまで破綻もしていない。ただ期待値が高かった分、なんか違う気が・・・とすれ違う思いを抱いてます。


このドラマ、あの大ヒットした「おっさんずラブ」(以下OLと略)の製作陣が作ってるのを知っていたので、OL民のはしくれとしては良くも悪くも裏が少し見えてきてしまう。余計な雑念といいますか。


ああ、2匹目のドジョウを狙いたかったんだろうな、というとこが。


まずモモチと巴のデートコースで何度も登場する夜景エリアが、まさに「おっさんずラブ」で春田が部長に告白された大場海浜公園。2年前、「おっさんずラブ」を思い出して胸を熱くしたあの公園ですから、OL民としては少々複雑。初めて見た時「おいおい、またここ使うのかい?」と驚いた撮影スポット。


miyabi2013.hatenablog.com


決して怒り心頭というわけではなくて、「製作スタッフ、OL忘れられないんだなあ~」と勝手に苦笑した感じで。更に、モモチの勤め先がスーパーというのも、OL続編(パート3)があったらスーパーを舞台にしたい、という野望があったのを思い出して、まんまじゃん、と思ったし。


文字フォントや色、グッズになりそうな小物、音楽、漫画とのコラボなど、OLの経験値を利用して、先回りしているのが分かる。もし「あのキス」がまたクリーンヒットしたら、「おっさんずラブin the Sky」での大失敗でドル箱を途切れさせてしまったOLの夢よ再び・・・が叶う形になるはず、と。


まあ、裏に渦巻く?野望やら純粋無垢な遊び心でも、そんなことは、ドラマの出来が良ければ別になんでもない、というわけなんですが。

キャストは魅力的なのに、なんでイマイチ入れ込めないのか

モモチ役の松坂桃李君は、最近電撃結婚したばかり。このドラマのためか他の作品のためか分かりませんが、少し痩せてやつれた感を出して「SEIKAの空」好きな地味なスーパー店員を演じてます。


オクテで陰のある青年役は、悪くはない。さすがに安定感あってそれなりにちゃんとモモチという役を掴んでいるなあ、と思います。ただね、圧倒的にイケメンなんですよ、彼。どんなダサい恰好していても、誤魔化しきれないイケメンさが時折邪魔します。


アネゴタイプの巴の麻生さんとの組み合わせ、とてもお似合いで第1話は楽しかった。巴に振り回されながらも健気についていく犬っころのようなモモチが素敵で、このラブストーリーで全然良かった、という感じすらしました。


2話以降、飛行機事故で隣り合わせた冴えないオッサン、田中マサオに乗り移る巴の魂。現実を受け止められないモモチが、尊敬する漫画家蟹釜ジョーを再現するマサオに巴を感じて、だんだん惹かれていくところまではそれなりに良かった。


ただし、巴が死んで身体が焼かれてしまったのは、物語として潔い反面、ちょっとコメディとしては重すぎる感じであまり笑えない。物語のラストは、ずっと巴の心のままのマサオか、巴の心が消えて本来のマサオが復活するか、と想像するとやっぱり巴さんが消えるしかない気がしてしまう(まだ分からないけど)。


このドラマでカギを握る、巴の元ダンナ、高見沢役の三浦翔平君は私が見た中で一番好きな役ですね。いい具合に肩の力が抜けてて、すごくイキイキと演じている感じ。充分にイケメンなのに、挙動不審で見てて飽きません。


4話でマサオ妻の帆奈美(MEGUMI)が出てきて、消息不明だった旦那の変貌に驚きつつ(冷えた夫婦関係に悩むマサオの過去が判明)も新たな関係が生まれそうな予感・・・なところがすごく印象的で良かったのでこの回はすごく楽しめました。


そして、先日の5話。オジ巴の存在に気づいて、モモチとタカミーがマサオをめぐって三角関係のバトルとなる・・・一番の萌えどころのはずなのに、なーんか全然萌えない。。。


高見沢がヨリを戻そうとマサオに声をかけて、最後はキスシーンまであるのですが、ホントごめんなさい、絵ヅラ的に全く麗しくなくて、どうしようかと頭を抱えてしまいました。肉体的にゴツくて男らしいんだよな、新さん。


2話冒頭の沖縄病院内で初めてモモチを見つけて泣き顔のマサオも、実のところ引いてしまうほど美しくなかった・・・。涙も鼻水も垂れ流し状態で(最近はリアル演出に妙に拘るのかな、でもそこまで汚い画の必要ある?)ここそんなにリアルでなくていいのにって。


新さんは個性派でどちらかというと好きな役者さんで、もちろん、女の心が入ったオジ巴もサスガの演技力を見せてくれてました。ただ、モモチとカップリング的に絶望的に似合わない。それに、そもそも男2人が取り合いになるまでの過程が端折りすぎだろう、て感じで、すんなり高見沢が愛情を戻すのも無理ありまくりだし。


このドラマ、どちらかというとBLテイストを狙ってるんじゃないかと思うのですが、途中で何回かマサオが(麻生さんの)巴さんと切り替わる空想シーンが出てくるので、あくまでモモチの相手役は美しい女性の巴さんなんだよ、と視聴者にお断りを入れてるんですよね。


そうすると純粋に「BL目線」では勿論見られない。それなら徹底的にコメディに振り切ってくれると楽なのですが、桃李君は真面目さが際立つタイプだし、新さんの持ち味もシリアス系なだけに兄と弟っぽい雰囲気で、なんか妄想や笑いに逃げ切れない、違和感が拭い去れないのです。


もっと穿ったことを言うと、OLの時も実は貴島Pの好みとしては、部長(吉田鋼太郎)と春田(田中圭)との恋愛を成就させようとしていただけあって、「あのキス」はやっぱりオジ専の話にしたいのかな、と。


むしろ、MEGUMIさん演じる元妻と巴の心の入ったマサオが愛を取り戻す、というドラマにしたほうが、ずっと素敵だったんじゃない?と思ってしまって、5話であ~違うな、求めてるのはコレジャナイ感が強くなってきました。


やっぱりBLテイスト狙い過ぎて(OLの亡霊が何度も湧き出てくるし)、なかなかしっくりこない、というか。マサオが攻めタイプだったら、BLとして成立しそうなんだけど、受けではないんだよなあ。そもそもカップリング的に萌えないだけかもしれないし、否、モモチとタカミーのカップリングだったらすごく見たかったかも(おいおい)。


あとは、きっと麻生さんの巴さんが魅力的すぎるのと、桃李君がイケメン過ぎるのが、なんかアンバランスの要因なのかもしれませんね。最後の着地点は一体どうなるのかな。(おぼろげに分かる気はしますが)


つくづく男同士は、カップリングの妙がかなり大事なんだな、と痛感するドラマになりました。なんだかんだ言いつつ、最終回まではちゃんと見ますけど。


◆2021.06.23追記:最終回まで見たところでやっぱり(巴が成仏してマサオ自身に戻る)そうなるよな、という安定のオチでした。モモチとオジ巴で無理やり仮想?結婚式をやる必要があったのか、かなり微妙。


そんなところでタクシードの男性カップル再現やるくらいなら、おっさんずラブの春田と牧でやってくれよ、という恨み節も・・・。


ま、それはそれとして、一つ分かったことがあります。男性”田中マサオ”とモモチの本気のラブストーリードラマだったら、このカップリングでも充分に「あり」だったかもしれない。最後まで「男性の体に女性の心が入った形なんですよ」というエクスキューズが邪魔していたんだな。うん、病的BL脳には苦笑しつつも、そこに自分的には納得がいきました。