雅・処

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「消えた初恋」8話にいたく感銘 男同士の関係と周囲の軋轢

期待をはるかに上回るBLドラマになってる

昨夜の「消えた初恋」は、良い意味で衝撃を受けた回でした。回を追うごとにハマり度は増していたものの、最終回まで特に感想などを書くつもりはなかったのですが、この劇的な回だけは、やっぱり書いておきたいな、と。(ネタバレあり注意)


深夜ドラマからのヒット作品、日本BLドラマ、主演カップルの大飛躍という共通点もあり、ついつい「おっさんずラブ」「チェリまほ(30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい)」と比較しがちですが「消え恋」には前2作で見られなかった飛躍的な展開がありました。


この8話では、理数の成績不振で大学進学をめざす青木に、岡野という教師(実習生)の補習がスタートします。岡野先生に年上の兄貴のような親しみを感じて努力し、成績も上昇する青木。岡野は青木に他愛なく恋愛経験などを聞いたりするのですが、その相手が井田と知って・・・。


小テストで100点取って喜んでタッチしようとする青木から瞬発的に体を離して床に落ちたり、「俺、そういうの興味ないから」とふれあいを拒否し、100点とったらラーメンをおごるという青木との約束を反故にしたり、露骨な戸惑いを見せる岡野。


挙句は迷子になっていた男性をホテルへ道案内をしてあげた青木に対し、売春と勘違いしてしまう始末。

恋の先にあるもの、性愛への惧れ

岡野の無理解に深く傷つく青木と苛立ちを見せる井田。更に青木と井田との関係にも初めて生理的な触れ合い(手つなぎ)や性的な結びつきへの不安など、新たな悩みが芽生え始めます。


コミックや過去のBL作品でも、このあたりの繊細なニュアンスは割と省いて(いきなり抱きついてキスしちゃう、とか)結果オーライなパターンが多くて、正直ファンタジーだよな、という思いが強くありました。


元々、井田も青木もストレート(異性愛者)の少年同士であり、もし出逢わなければ、将来それなりの女性と知り合って恋愛するようなタイプの2人。その2人が男性同士の触れ合いにそれほど積極的なはずはなく、分からないのが本音でしょう。


青木と井田は恋愛も初めてな上に「男同士」という未知の世界への戸惑いも現在進行形。2人はその難しい関係に悩みや恐れを抱きつつも、自分たちのペースでお互いに相手を信頼しながら進んでいく。


2人の感情をちょっとじれったくなるくらい、丁寧に描いていることにかなり感銘を受けました。青木も井田も知識としては一応あるけれど、まだ「好き」だからといって急に肉体的な接近をすることにはためらいがある。


青木は、一方的に井田に告白してるので、どこまで井田が本気なのか今一つ自信がなく、そこが先へ進むことの恐れにも繋がっているようです。井田は、もともと口数が多いタイプではないし空気を読むこともない。


だからこそ青木の考えをまず聞いて、自分の心情よりも「お前はどうしたい?」「お前はそれでいいのか?」と必ず聞き返しています。先回りしてマイナスに想像しがちな青木にとって、井田は決して声を荒げることなく淡々と自分の想いを吐露しています。


たとえ1つ不安になっても井田の思いやり溢れる言葉を聞いてその不安を解消している青木。そのたびにゆっくりですが彼らの絆は強く結びついていきます。だから焦らなくていい、2人でこの先もゆっくり恋を育んでいけるよね、という感動があります。

見えざる敵(差別意識)との闘いを暗示

もうひとつは、閉ざされた世界(青木、井田、相多、橋本という友達関係)の外に広がる無知・無理解の世界(岡野)、という問題を描いていたこと。ここは画期的な前進だと思いました。


岡野は、青木に「偏見ヤバオ」と言われたり、「俺だって誰でもいいわけじゃない、井田だから好きなんだ。」という本音を聞くことで少しずつ、他とは違う価値観を学んでいきます。


更に実は2人の関係を気づいていながらも、「いろいろな個性の生徒がいるんですよ」と何も言わずに見守ってる担任の谷口先生、が岡野の対比として描かれています。


岡野の戸惑いや率直に「気持ち悪い」と感じてしまう思いは、実は結構多くの人がいまだ内包している問題だと思います。青木も橋本さんが好きだった頃は、何の疑いもなくストレートとして生きてきたわけで岡野と同じ側の大人になっている可能性だってある。


コンプライアンスやLGBTQばやりの昨今、表立って差別するような行動をしなくても、そうそう簡単に世間(特に中高年)の価値観は変わらないはず。岡野先生は世の中に滅多にいない1人ではなく、大多数の1人なんだと思います。


まだ学生として親の庇護を受けてる井田と青木の前には、実の親達や世間の、あるいはこれから出会う先の多くの人々の差別・無理解との闘いが控えています。そしてその敵と対峙して負けずに逃げずに切り抜けていこうとしている2人。


青木と井田の純粋で強い魂を見せてくれた、という感動がありました。原作が素晴らしいのかもしれませんが、この展開を見た時、このドラマは、「娯楽」じゃなくて「道徳」として見せるべきな内容なんじゃないか、とすら思いました。


大人気となり、社会的な影響を与えた「おっさんずラブ」「チェリまほ」でも、2人のカップルの関係性は強固であって、すぐ近くに深い理解のある仲間がいたところは同じでした。


ただし、あえて外(職場)の世界の抵抗感への描き方は強くはありませんでした。「おっさんずラブ」では、自分の職場のメンツは男同士でもなんの問題もないよね、というファンタジーを用意しましたし、(ドラマ版の)「チェリまほ」でも2人だけの秘密として深い所は描かれません。


やはり欧米とは違い、いわれなき差別を受けるくらいなら、あえて波風を起こさず自分達2人の関係は秘しておくもの、という日本的な隠す文化は根強いので、ドラマとはいえどもそこをあえて触れる必要はなかったのでしょう。


これが海外ドラマになるとむしろドラマチックに親や家族との葛藤などを強く表現するのでしょうが、日本の短いドラマ放映でそこまで描くと少し内容が重くなりすぎてしまいます。


今回のお話は、「消え恋」の甘酸っぱく可愛らしいピュアな世界を壊さず、立ちふさがる大きな壁に対してヒョイとそこを飛び越えていく若者特有の軽やかさを描いてくれたことがとても魅力的でした。


初回の頃と比べて、青木は自分の悩みを率直に井田に語るようになってきてますし、少し不器用だけど地に足がついていてマジメ実直な井田はちゃんと受け止めてあげている。


この2人ならどんなことでもちゃんとお互いの想いを伝えて解決していくだろう、という安心感も感じられました。来週はダイジェストで、あと残り2話かな?本当に終わるのが寂しいです。


 いやあ、素晴らしいです。本当にこの作品はトータルで素晴らしい。

おまけ:目黒蓮君に惹かれてきてる

ドラマを見返すほどに道枝君の細かい表情の演じ分けに感心しています。芸歴長いし、なにわ出身だし、コミカルな演技は得意なのかな、なんて思って見てましたが、挙動不審な時に眼球がブルブルと動いたり、いやいや案外凄いわ、この子。


今更ですよね、失礼しました。本当に最初は何気なく軽~く見ていたんです。そして、ぶっきらぼうでやや棒演技(失礼)に見えなくもない目黒君演じる井田も、その表情の一瞬に戸惑いや愛おしさの感情を滲み出していて、やられまくり。


とうとう動画サイトでSnow Manの過去映像を見てしまうという状態に。。。今のところは私は井田が好みなんだ、と抗って(笑)おりますが、目黒蓮は顔がイイだけじゃないんだな、と当たり前の事実に気づいてきてます。


Snow Manは年長メンバーが多いので遠慮があるのか、なかなかセンターに出てこない感じで、「勿体ないな~」と感じてしまいますね。彼の場合、もうそろそろバーンと売り出して表舞台に出てきた方がいいと思う。


顔もスタイルも抜群に良くて、「俺が俺が」と出しゃばりにならない奥ゆかしさもありつつも、秘めた大きな野望もあって(という人に見える)、これからどんどん躍進するんじゃないかな(私生活で幻滅させないでくれたらいいけどなあ)。


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