雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

BL文芸作品「僕の愛を君の心で訳して」と馴染めなかった「美しい彼」

これぞ傑作!あまりの素晴らしさにノックアウト

今日は初めて2記事目を書くことにしました。ずっとどこかで触れたいと思っていたBL作品。昨年WOWOWで放映された、タイBL「僕の愛を君の心で訳して」。


この作品、プーケットを舞台にした少年~高校時代編「I Told Sunset About You」とバンコクでの大学生編「I Promised You The Moon」の2作があります。前作があまりの高評判となって、続編が誕生しました。


「チェリまほ」が話題になっていた2020年の終わりに中国でそれを凌ぐ高得点をとったBLということで興味を持ちました。その頃、タイBLは世界中でブームを巻き起こして日本にもその波が来ておりました。


私は、「2gehter」や「SOTUS」をWOWOWのお蔭で見始めたのですが、そのテンポのゆったりさとか、文化的な背景なのかイマイチ馴染めず、すぐに見るのを止めてしまったので、果たして「僕の愛は~」はどうかな、と半信半疑で見始めました。


しかし、この作品を見始めてすぐに噂に違わぬ素晴らしさにぐいぐい心を掴まれました。まるで映画のような映像美、主人公2人の何気ない視線のリアルや嘘のない演技力には度肝を抜かれました。


主人公は、テー(Billkin)とオーエウ(PP)の2人。中学校入学当時から始まる交流で、2人は俳優に憧れて成長するに従い同じ有名大学の演劇科コースを目指します。


京劇の主人公に憧れたテーは、中学校時代の京劇の出し物で仲良しのオーエウとのわだかまりが芽生えて疎遠になり、高校時代に再会してからは少しずつまた距離を縮めていきます。


オーエウに中国語のレッスンをしてあげたり、一緒に遊び学ぶうちに友情から愛情に発展していく関係に。しかし、2人は惹かれ合いながらも喧嘩、嫉妬などいろいろな感情に振り回されてそれが愛とはなかなか気づかないのです。


youtu.be
公式トレーラーですね。最初の方、なんか妙に対立構造のようにしてるのがミスリード呼びそう。オーエウの親友バス君がキスマイ玉森君に似ているなあ、思いました。


その揺れ動く感情の繊細さと美しさは稀に見る素晴らしさ。たかがBLでしょ、なんて言えないくらいの完成度の高さです。最高級の日本恋愛映画でも叶わないほどの凄さ。


若い2人の役者だけでなくプロデューサーや監督などスタッフの本気度が全然違う、と思ったのは、本編に続いてオーデションやゲネプロなど舞台裏のメイキングも放送してくれたため理解できました。


2人の気持ちの高まり合いが完全になるまで何度でもやり直す撮影。だからこそ演技に嘘がほとんどないのです。見ながら「これ、演技じゃないだろう!?」と驚くシーンが沢山ありました。


私この作品はまだ通しで1度しか見ていません。なので詳細をくまなく描写できるほどではないのですが、いくつかのシーンは情景がこびりついています。それにあまりにこのドラマは心臓💛にくる


あまりに切なくて苦しくて・・・とてもじゃないけど何度も見返して楽しむ作品ではありません。1年に1回とか2年に1回レベルで見ないとこのドラマは心を持っていかれてしまうのでヤバいです。

日本BLドラマとどう違うのか


「チェリまほ」「消えた初恋」と同時期に見ていたので、この作品の違いを強く感じました。放送時間の尺の違いもありますが、一番の違いは主人公のモノローグですね。


ようはマンガ原作の日本BLドラマは、主人公の気持ち、心の動きを全て内面の「言葉」で説明してしまうのです。だから、気持ちと裏腹な態度を見せていても視聴者はその本人の感情をブレずに理解できます。


テンポも速いので、タメが無くてどんどんその世界観に引きずり込んでいくような魅力がありますが、それだけゆっくり心象風景をしっかり描くのには長けていない。


一方で「僕の愛を・・・」は感情の揺れ動きを演技として見せています。登場人物の友人や家族も寄り添う形でのフォローに留まっていて、「その時、キミはどうしてそう思った」ということが一切説明なし。


正解が無い、ことがモヤモヤを大きくします。説明つかない感情が目や表情から零れ落ちてくるのを待つしかありません。その忍耐と集中力は、最近私自身も忘れていたもので、気づかされましたね。


テーとオーエウのすれ違いは、恋人同士となってからの続編の方がかなり激しく描かれています。知的で素敵な演劇部の先輩(男性)の存在に浮気なのか本気なのか分からなくなっているテー。その姿に心がかき乱されるオーエウ。


どちらも愛しているが故に苦しいぶつかり合いや悲しみで引き裂かれんばかりになっていて、切なすぎてたまらなかった。男同士とかそういうレベルの話じゃない、本物の愛のドラマになっていました。


前編は、プーケットの美しい海や夕陽、細い生活感溢れる路地などが印象的でしたね。プーケットスマトラ津波前の昔に行ったことがあって恐らく風景は少し変わってるのかもしれませんが)なんとなく懐かしい雰囲気を感じます。


続編の方は、発展するバンコク超高層ビル群やスタイリッシュな青年達に驚きました。若い活力が漲っていて香港とかシンガポールみたいな近代的な印象まであります。


昔はアジアの多くの若者が眩しく日本を見ていたと思いますが、今やその感覚は完全に他の新興国に移行したようでちょっとばかしセンチメンタルな気分になりました。

主演の2人がとにかく素敵


主演のBillkin、おめめクリクリで高校時代は坊ちゃん刈り?みたいな素朴な印象で、最初はイケメンと思わなかった(ゴメンね)のですが、髪が長くなるにつれてイケメン度マシマシ。おまけに歌まで巧い。


対するPPは、君なら即日本でもアイドルになれるだろう、というくらい整った甘い顔立ち。ハンサムだけどどことなく可愛らしく憎めないタイプの青年。赤髪がすごく似合っててめっちゃ魅力的でした。彼も歌が上手い。


メイキングでは、2人で大観衆の中、ステージ上に人気アイドル的に佇んでおり、すごく今風のイケメンさん達というギャップに驚かされました。どちらも1999年生まれだから、まだ22歳くらいか、末恐ろしいです。


とにかくこのドラマは、類まれな文芸ロマンス作品です。そんじょそこいらの恋愛映画はひれ伏すぐらいのレベチの素晴らしさなので、早くDVD化されてもっと多くの人が感動してくれたらいいな、と思ってしまいます。


日本BLドラマが最高に好きな私でも、この作品は別格で認めざるを得ないナンバー1作品です。


youtu.be
2人のこんなMVがあるんですね。ドラマで何度も出てきた風景(衣装・髪型も)をそのまま瞬間冷凍してくれてます。それにしてもタイのBLカップル売りはエグイな。


「美しい彼」は、ちょっと・・・ダメでした


「消えた初恋」と同時期に放映していた「美しい彼」。こちらも、BLファンに人気の作品ですね。「消え恋」とはちょっと客層が違うかな、という感じのドラマでした。


配信でざっと見ただけなのですが、残念ながら私には全く響きませんでした。映像は綺麗で凝ってましたが、登場人物の心情がイマイチ伝わってこなかったので、どこいらへんが人気に繋がったのかもう一度見返してみたいくらいです。


眉目秀麗な清居を演じたのは、八木勇征君。EXILE系でプライド高い孤高の王様タイプ。彼の美しさにひれ伏して異常に愛情を注ぎ込む平良役に萩原利久君。


何せ個人的にスクールカーストとかパシリとか、高校生活の暗部みたいな描写が超苦手なもので、始まって3話目くらいまでは見るのがシンドイし、終始、受け身で諦め体質の平良にも苛々。


若干ストーカーチックに清居を信奉する平良。その気持ちを知りながら、「キモイ」とか傷つける言葉を放ち拒否する清居。その2人が中盤以降、実は両想いということが分かっていくのですが、そこにまずついていけなかった。


うーん、これは原作読まないと分からないな、というくらい付け焼刃な感じで、心情を追うところがナレーションで済まされてる感じで非常に雑に感じました。というか、私の想像力が乏しかっただけなのかしら?


なんか最後まで2人を無理やりくっつけようとしてるようで、「見てるこっちの感情はそこまで到達してないですが・・・💦」という感じ。特に、平良の大学の同級生男子(高野洸)が入ってくるところが辛かった。


2次元BLあるあるで第3の男もやっぱり男好き、という都合よい設定。これをどれだけご都合主義に走らず生かせるかが、演出と脚本の見せ所なのですが、そこが決定的に弱くて、高野君は魅力的だったのにすごく残念でした。


最終話、平良と清居が本音をぶつけ合うシーン、ずっと愛を求めていた清居の独白は一番の見せ場で、そこは素直に良かったと思ったのですが、そこからちょっと攻めた裸のラブシーンというのがこれまた「ハア~?」って感じでした。


綺麗だけどお人形さん2人並んでるようで無機質で。いや何より、こっちはそこまでまだ気持ちが到達できてません。。。という。ひと様よりちょっとはBL道長くやってきたつもりでしたが、私もまだまだだな(苦笑)。


大ハマりしてる信者も結構いるようなので、多分、私の好みとはちょっと違っていたのでしょう。あとで原作の方をちゃんと読んでみたいものです。


しかし、円盤のみならず、公式本やアクキーやらブロマイドやら、「美しい彼」はグッズには恵まれていてそことても羨ましかったです。利久君も八木君もノリノリで宣伝してましたし。


まあ、何にせよBLドラマがどんどん世に出てくれるのはありがたいと思ってますよ。