9月20日 新幹線と特急を乗り継いで、青森駅へ到着。さすがの連休で、自由席は満席状態でした。ホテルに荷物を置き、観光案内所で地図をもらって早速、めざすは三内丸山遺跡!10年以上も前、この遺跡の発掘調査の様子はテレビや雑誌でいろいろ騒がれていたので、その頃から是非訪れてみたい場所でした。
駅からのバスは、1時間に1本程度ということで中途半端な時間に着いてしまい、時間が惜しかったため、タクシーをチャーターしました。気さくな運転手のおじさんと語りながら(近道を通ってくれたらしい)約2000円で無事に到着。
友人も私もすでにお腹がぺこぺこだったので、すぐに食事へGO!館内のレストランで「まほろば定食」を頼みました。縄文人が食べていた古代米*1と自然食っぽいメニューをペロリと平らげました。後ほど、ガイドブックの受け売りで「ソフト栗夢」(栗ベースのソフトクリーム)も食べました。栗は、こちらで代表的な植物のようです。
【なかなかどうして、見ごたえありました復刻遺跡群】
屋内施設からすぐに遺跡を示す矢印が外へと続いてます。「こっちでいいの?」といぶかしく思いながら、秋晴れの外に飛び出すと目に入ってきたのは、広々とした野っ原に広がる、いくつもの竪穴式住居。2,3種類かな、と予想していたのですがさにあらず、ちょっとずつ形を変えたものが10棟以上も点在してます。子供の遊び場にも最適なほど、確かにその名の通り”まほろばパーク”のようです。
他にも、倉庫に使ったのか掘立柱建物、大型竪穴住居なども並んでいて、なかなか壮観な眺めです。竪穴式住居は、入口がとても低いのですが、入ってみると地面が低く掘られているため、意外と中は広く感じました。燃えカスの臭いがするのは、実際に体験学習なんかもやってるので、火をおこしたからかもしれません。
三内丸山の縄文人は、今から5000年以上も前に1500年間もこの地で定住していたそうですし、住居後だけで実は800もの数が見つかってる、という途方も無い大きさと歴史。あまりに規模が大きすぎて見当もつかないほどです。この遺跡復元地の中でも最もシンボリックな存在を見せるのは、大型掘立柱建物。
木組みはあくまで想像でしかありませんが、すぐそばの白いドーム型施設内に本物の6本柱の跡(中はやや蒸し暑い)があって、そのサイズを確かめられます。他にも子供の墓跡や貝塚などが原型を留めるように残されています。あまりにも復刻された建物が圧巻なので、本物のほうがちょっと影が薄くなっていたかもしれませんが。
展示室には一番見たかった縄文ポシェットが置かれてなかったのは残念でしたが、縄文時代の珍しいモノが数多く展示されていました。翡翠製の飾り物や子供のおもちゃのようなミニチュア土器などもありましたね。何よりすごいのはこの遺跡も施設も完全無料なのです。楽しめて、古代の生活を垣間見られて、すごいお得気分でした。
その昔、大学のある教授が言っていた言葉を思い出します。「東北の歴史は、今までどれだけの発見があっても全て京都(上方中心の歴史観)で握り潰されてきたのだ。」と。それが本当かどうかは知る由もありませんが、少なくともこの三内丸山遺跡の発見が縄文文化の発見という意味では、画期的だったのは間違いありません。
同行の友人は、青森県木造町亀ヶ岡遺跡で見つかった「遮光器土偶」に魅せられておりました。歴史の教科書でお馴染みの宇宙人のような顔立ちに女性体の体つきのものです。この種の土偶は、岩手でも数多く見つかってるとか。まだまだ謎多かりし奥深い縄文文化です。
【奇妙キテレツで予想外に面白かった青森県立美術館】
シャガールの大きな絵と白亜の建物のコントラストが美しくて目を引いた美術館が遺跡のすぐ隣に位置しておりました。閉館時間まで1時間というところだったので、常設展しか見られませんでしたが、この美術館に足を伸ばしてとても満足しました。
空間を贅沢に作った遊び心満載、天井も高いし、建物自体が迷路のような「なんともふざけた(失礼)」建物なんです。順路通りに歩いて行っても、アレレ?となりますし、階段を昇ったり降りたり、エレベータには階を示すボタンがなくて椅子があったり、トイレですらやたらとアートで。
展示されている人の顔ぶれも青森が生んだ偉人達、なのですが、棟方志功・寺山修司・奈良美智とアバンギャルドな奇才ばかり。青森県ってちょっと個性の強いアーティストが生まれやすい土地なのかしらん。近代〜現代美術家の耳馴染みの無い方の作品も多数展示されていました。
そして極めつけは、奈良美智氏の「あおもり犬」。巨大モニュメントで、その大きさに圧倒されました。一方で、なんか脱力した表情が妙に安らぎます。これだけでも見る価値ありましたけど、たどり着くまでまた”遊ばれてる”ような気分になりました。ヘンテコだけど、今までで一番面白い美術館でしたね。
*1:雑穀とかあったのかな、材料はよく分かりませんでしたが。