雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

チェリまほ最終回 勢い失速でひたすら残念

ファーストキスがない!?あり得ない問題

12/25に最終回が放送された「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」。この感想を書くのに4日、クールダウンするのを待ち、やっと書くことに決めました。ここを乗り越えないと、絶対に先に進めないから、という理由で。


普段から、このブログは一切忖度無し、本音で勝負、切り捨て御免派なので、別に前置きなんてすることないのですが、「チェリまほ」最終回に満足されてて、かつ絶対に批判を聞きたくない方は、ここで引き返すことをお勧めします。責任持てません。


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もうちょっと前置きします(笑)。私はBLや同性愛の実写作品を長らく見ているのですが、全くもってラブシーン重視派ではありません。キスシーンもベッドシーンも、主人公の心情とストーリー展開にあっていてかつ、効果的なら萌えます。


一方で、少しでも迷いがあったりギクシャクして無理されてるのを見るのは心苦しい。仕方ない部分はあるのですが、同性間の触れ合いに無意識に抵抗が見えたり、本当に下手だったり(汗)すると萎えるので。


「やりたくないよね、ごめんね。でもできないなら前もって止めておいてね」みたい申し訳ない気分になります。あと過剰にやりすぎなのも、「うーん、頑張ってるね」という感じで申し訳なくなるし。

【検証】何故、私は失望したのか

(1)BL史上最高レベルの美しさ(安達×黒沢)の初キスが見られないショック


「チェリまほ」は、美しくて演技の巧い赤楚衛二君と町田啓太君という2人のフレッシュな役者達が演じる安達と黒沢の恋愛模様が一番の見せ場で、過剰なラブシーンはもとより期待してませんでした。ただし、主人公が童貞が原因で魔法使いになってしまう、という性質上、朝チュン*1シーンはあるかな、と思ってました。


当初は、時間帯も遅く、TV局に期待されている作品ではないと思われるため、オリジナル部分(原作はまだ完結してません)をまとめて12回できっちり童貞喪失の描写まで盛り込むのだろうな、と推察してました。


ドラマは1話目からなかなか面白いな、と思って見始めていて、私がハマったのが3話の飲み会シーン。王様ゲームでキスを求められる場面。怖がる安達の額に黒沢がそっとキスをするスローモーション。あそこで2人の美しさにハッと息を飲みました。


とりわけ、町田君の彫刻のような横顔の破壊力はすさまじく、その後の屋上シーンでのニアキスも含めて、日本人男優でこんなに美しい人がこの世にいたのか、ぐらいの感動があり、すぐに沼落ち(笑)。


3話のニア・キスシーンがあんなにも美しく、しかも切ない黒沢の片思いを抑える心情と相俟って心が揺さぶられて、本当に黒沢の秘めた恋心が叶って欲しい、と痛切に祈りました。そう、本当にこのドラマはBLという枠を超えて、純愛ドラマだ!と打ち震えたのです。


こんな美しい2人の純愛が最終回までに成就したら、それはそれは大変な盛り上がりになるだろう、と疑いはありませんでした。ドラマの進展に合わせて高まる期待、「最後は最高のラブシーン、見せてくれるよね」という強い願望。


しかし、その日は永遠にくることはなかった・・・。

(2)キスのおあづけシーン続出 もはや悪質な「釣り」ではないか


黒沢が安達にキスをしようとして寸止めになるシーン、これがかなり多かった。恐らく作り手に根っからの悪意はなく、あくまでドラマの演出の一つ、として二人のニアキスを利用していたはず。

①3話 居酒屋 王様ゲーム 黒沢から安達の額キス
②3話 屋上 黒沢が安達にキスをしようとしてストップモーション
③4話 冒頭 3話の続きと黒沢再トライで再び中断    
④6話 安達の部屋 ベッドドン 足を滑らせ倒れ込みベッドで見つめ合う2人
⑤9話 黒沢の妄想 ベッドシーン キス未遂
⑥11話 黒沢の部屋 安達が魔法喪失を狙って黒沢を誘う


これだけの2人が触れ合う「見せ場」を用意していました。もちろん、一つ一つのシーンはどれも美しく面白く、見ていて胸が高まるものでした。ここまでのニアミスがありながら、黒沢は安達の許可なく手を出しません。


そのナイスガイぶりに余計にドキドキさせる。手法としては間違っていないのですが、それもやり過ぎるとちょっとタチが悪い。きっと「素敵なファーストキスシーンを見せてくれるのね、今はおあづけくらってても我慢するよ」と。


いや正直言って、実は一抹の不安は覚えてました。まさか「最後までキスがないってことはないよね?」という疑心暗鬼も少しだけ生まれておりました。いまとなると、特に次週まで引き延ばした3話の屋上シーンはかなり悪質ですね。


海外ファンのリアクション動画を何個か見ましたが、みんな想定外のキスがくる!と「キャー」と盛り上がってから、次週おあづけで「信じられない」と真顔に変わっていました。面白いくらい同じ表情で失望の色隠せず。


「続きはCMのあとで」の引っ張り手法、「続きはWebで」「続きはHuluで」というクロスメディア手法にかなり近いアブナイ手法です。昨今は、視聴者からかなり嫌われたり苦情が入ったりする、事故スレスレのやり方なんですよね。


更に11話は、黒沢に黙って心を読んでいた安達がその秘密(魔法)の重さに耐えきれず、黒沢に震えながら「教えてくれ」(童貞喪失のために)依頼するシーン。黒沢からしたら、性急な安達からの誘いをいぶかしいと思いつつもキスをしようとする。


そこで激しく拒否されて押しのけられてしまう。「おいおい自分から誘っておいて、それはないだろうよ、安達君」という気持ちでいっぱいになりました。ここは物語の進展上、仕方がないとは思うのですが、純粋な黒沢の気持ちを傷つける描写です。


そこまでためにためて焦らしに焦らし、散々もったいぶったキスシーンを、最終話では「ほうら、お前らには見せないよ」とばかりにカットした、その性悪さは他に類を見ないです。これを恋愛ドラマで悪気なくやる作り手って恋愛ドラマは二度とやってはいけないレベルなのでは。

(3)消されてしまった初めての大事なファーストキス 


アントンビルの屋上で愛を誓い合った黒沢と安達。黒澤「魔法を失ってもいいの?」の問いに安達「いい、黒沢がいれば」と答え、手を取り合った2人。恋愛感情の高ぶりを見せるファーストキスは省略され、すぐに朝チュンシーンへ。白Tシャツでベッドに仲良く眠る2人の姿に唖然。


え、何そのロマンティックの欠片もないベッドシーン!
お揃いの白Tシャツって何?
いや、それ以前にファーストキスだろ、ファーストキス!!
ベッドシーン要らないからキスシーンくれ


初めてのデートをあれほど強調していた黒沢。安達が初めて決意を決めて黒沢からの愛を受け止めるファーストキスシーン。緊張して手に汗を握って見守る私達・・・。「それがないだと~(怒)!」というぐらい混乱して茫然自失。


こんな恋愛ドラマってあるのでしょうか。そこまで見せないなら「このドラマは最後までキスしません」と但し書きつけて欲しい、それなら期待しないで見るから。


朝チュンの描写もやっつけ感があって、ようやく2人が結ばれた、と思うにはちょっと不足でしたし。もちろん尺が足りないとか、シナリオに波があるとか細かい部分のとりこぼれはいっぱいありました、チェリまほ最終回。でも、それ以上に、このキスシーンの扱いがあまりにもダメすぎた。


それは時間が足りない、ということでは穴埋めできない気がします。そもそも、男女の恋愛モノだったらキスも隠さないし、ベッドシーンも(頼まれなくても見たくなくても)裸でやるよね。


これって男同士だから?
同性愛だから?
キスもちゃんと見せない、裸もダメ、ってこと?


一部で騒がれた「同性愛嫌悪」や「同性愛差別」と見えなくもないセンシティブな問題を感じさせます。海外ならすぐに騒ぎになって、作り手が弁明させられるくらい大問題になる案件ではないか、と。


日本の作り手はさすがにダンマリです。日本人だから分かります、火に油を注ぐ必要はないと黙って嵐が過ぎ去るのを待っているのだな、と。


この脚本を見た時にどこからも「これはちょっと・・・」と突っこむ人いなかったのか?
視聴者が見たいものを見せないのがカッコイイなんて誰が言ったか。
誰もが傷つかない「優しい世界」が、かなり多くの誰かを傷つける展開になって良かったんだろうか


本当に信じられない出来事でした。しかも、あの奇跡の7話を作った人達がこんな初歩的な失敗をやらかしてしまうとは。

(4)ラストのエレベーターキス チラリズムの出来の悪さ


気持ちを消化できないまま、ラストのエレベーターシーンまで進んでしまいました。黒沢と安達はすでに相思相愛、愛されることで「自信」に満ちてすらいる安達。2人の笑顔とノロケ合いはカワイイし、いつもの安定した2人の演技です。


エレベーターを閉める瞬間に重なり合う唇・・・の前で無情にエレベーターの扉が2人の姿を隠す。「うわ、最悪」思わず声に出ました。作り手は、このシーンをさんざん焦らしたキスシーンの代わりに「ご褒美」として提示したのです。


きっと「お洒落~」という視聴者の賛美を期待しながら。自己満足の最たる結果。大惨事、悲劇としか思えません。


最悪です、もう最悪としか言えない、全然美しくない、しかも演出は幼稚すぎ


町田君と赤楚君のこれまで積み重ねてきた演技力を想えば、どれだけ素晴らしいキスシーンも可能だったはず。そして、彼らの役者魂を考えたらわずか数秒のキスぐらいどうってことないはず。


それを昔のアイドルでもあるまいし、ただ唇を重ねる振りをさせるなんて、失礼にもほどがある。これならやらないほうがマシ。今までずっと「振りのキス」は、「振りの殴り合い」と並んですごくシラケる映像の一つでしたから。


もっと失礼なのは世界中でチェリまほを愛してくれた視聴者に対して。日本で史上最高レベルに昇華されるはずだったドラマが一瞬にして空中分解した瞬間でした。どうしてこれほどまでに愛の過程を繊細に丁寧に見せていってくれたドラマが、こんな幼稚な発想でキスシーンを扱うのか、理解に苦しみます。


もちろん悪気はないのは分かります、悪気はないのは。
しかし結果的に視聴者を小ばかにしてる。
「悪意」を感じさせてしまってる。
もう本当に最悪としかいいようがない。


おまけに2人の間に緊張感がなく、もはや何度もキスを交わしたであろう間柄になって新婚ほやほやみたいな状態。安達は黒沢相手になんの迷いもなくノロケている。コレジャナイ感が沸々と沸き上がってきました。


見終わって考えました、何が一体、原因だったのだろう?素朴な疑問を上げてみます。

男同士は、事務所NG?

まず真っ先に頭をよぎったのは、赤楚君(トライストーン)と町田君(LDH)の事務所のどちらか、または両方からの「キスシーン、ベッドシーンNG」ではないか、ということ。でも、ファンの声を聞くと、事務所NGはあり得ないの声が多いですね。


赤楚君のほうは、「おっさんずラブ」で体を張ってる田中圭やゲイ役何度もやってる綾野剛がいる事務所なので、まあNG案件ないだろうな、と思いました。


ただ赤楚君はまだ若いので、彼の周辺のマネージメントサイドでは、「(ゲイの)イメージをつけたくないから」と多少の制限はあったと勘ぐってます。町田君は30歳だし、そこまでの制限はつかない気もするのですが、女性ファンが多い事務所なのでどうかな、と。


そうしたらやっぱりLDHの他の俳優達も、男同士のキスシーンは多数やってるという現状を聞きました。町田くんだけ例外扱いはないだろう、と。今どきこのご時世で、BLドラマをやるにあたって、役者側から「キスできません」はないだろう、という至極当然の声も多数。

コロナ禍だから?

今やリハーサルは、マスクやフェースシールドでの防備体制で臨んでるというドラマ界。キスシーンは本番1回だけ、というルールになっている、という話を聞きました。まあ、当然だな、という感じです。


だからチェリまほも、「キスなし」ドラマなのかな、と思っていました。ハグや手つなぎのピュアな名場面があったので、その主義(感染対策重視)なら分からなくもない。そしたら8話以降で湊のキスシーンあり。湊はスピンオフ含め3回もありました。


メインカップルがなかなかキスがないから、サブカップルが代わりにしてる?そこまではないかもしれないけれど、これは安達と黒沢は最終回に1回だけ見せ場のキスシーンがあるな、とそこで刷り込まれていきました。

男同士の至高コンビとして評判になるのは迷惑?

私がOL民なので、もう一つクレイジーな推測が出てきました。「おっさんずラブ」(2018年 シーズン1)で春田と牧という男同士の名カップリングが誕生して、ファンの一部が過熱化したこと。


その過熱が行き過ぎて、俳優や周りの関係者にプチストーカーまがい、他ドラマの営業妨害に近い言動が生まれたこと。業界で広く知られているようです。これを恐れて、カップリングを強く意識させないシチュエーションを求められたのではないか。


別にそこまでとは言わなくても、チェリまほの黒沢×安達コンビは、あまりもBLカップリングとして高品位すぎて、今後普通の男女のラブシーンを演じにくくなるかも、という恐れはなくもない。


ただ、それはキスシーンやベッドシーンがなくても充分に魅力爆発で存在を見せつけていた2人だったので、ちょっと無理があるかもしれませんね。

二次創作・コラージュ問題

日本勢ならいわゆるナマ萌えの二次創作(同人誌などに実在の俳優を使ってBL作品を作る)や海外勢のコラージュ(写真を加工してキスシーンなどを作り上げる)など、これも嫌がられる要因になりますね。


最近は技術も進んでますし、ファンの技巧も上がっている。よって3話や最終回のニアキス写真も、すぐにリアルキスにうまく加工されて世界中に流れておりました。キスやベッドシーンだけを切り取られて写真や動画で不法にアップロードされる、これは嫌がられるでしょうね。


しかし、それを避けたいならBLドラマそもそも受けないよね、とまた堂々巡りしてしまうのです。

脚本・演出・効果を狙ってワザと仕掛けたか?

やっぱり一番有力なのは、作り手の意向ですね。エレベーターでのキスをクライマックスに持っていきたかった。それもお洒落で、視聴者を驚かせる手法に拘った。その結果が消化不良でショックを受けるファンが続出、という悲劇。


トレンディードラマみたいな演出?なんて声もありましたが、それ狙ったとしたら古すぎ。私には、昭和初期のガラス窓越しの伝説のキス、とかアイドルドラマでの「やった振り」のキスとか、そういうひたすらダサい、古臭い、誰の趣味?と思うほどの残念なキスでした。


日本特有のチラリズム、見せない美学?いやあ、それにしては、あまりにもショボいテクニック。明らかに唇を重ねてないのが分かる、味もそっけもない美しくないキスシーン。これならないほうがマシ、かと思うくらい。


すごく残念、いや残念を通り越して頭を抱えました。チェリまほ、お前もか~?!去年、「おっさんずラブ in the sky」で地の果てまで落とされたのが、再びなのか~!!


ストーリー展開としては充分に予測できていたし、安達・黒沢の恋愛が成就したハッピーエンドはやっぱり嬉しいには違いないのですが、初見でのショックがあまりに大きかったので全て崩れ去ったような失望に襲われました。


制作側は、BLドラマを一体誰に向けて作っていたんだろうか
最終回だけ、一般のライト層にアピールしたかったのか
(深夜1時、視聴率も気にしなくていいほどのローカルドラマでも?)
ターゲットミス、戦略ミス甚だしい
頼むから、BLドラマはちゃんとBLドラマらしく作ってほしい


大事な時だけ、妙な色気だして「一般向け(ですらない、本当は)」のぬる~い描写を入れてくるのBLファンに大変失礼です。恋愛ドラマなんだから、クライマックスのキスなんてベタでいい。カッコつけようとするからヤケドするんです。本当にこれ以後のBLドラマは気を付けて欲しい。

それでも、2020年最高のBLドラマ

1話から7話まで神懸かり的に良かったチェリまほ。8話からオリジナル要素が入ったために若干、没入度は落ちた気がしましたが、それでも赤楚君と町田君の熱演と素晴らしい演技力で気持ちを盛り上げ、夢をみせてもらえました。


思えば11話のお疲れ会(別名:惨劇のディナー)から、不穏な空気が漂ってました。二人の決定的な別れ(あるいは長い中断)を予告するようなラストシーン。最終回のハードルをものすごく引き上げてました。


これを10話にもってきて、多少の時間稼ぎをしてくれたら、もう少し有効なシーンや理由付けが描けたかもしれません。しかし、そもそも脇役大活躍の最終回は、時間配分がおかしくて、メインの安達黒沢のシーンが大幅に削られてしまってました。


安達の成長物語はどこに消えた?人の心が読める魔法についての拘りは?そこの深堀全く無く、作り手が絵空事のような「全員プレー」の優しい世界を追い求め、同じような展開で終わるなら、結果の阿鼻叫喚は変わらなかったでしょう。


それでも、赤楚くん、町田くんを初め役者さん達、演技上手で適役で魅力に溢れていました。このコロナ禍の暗い世相に一筋の光を与えてくれたのは間違いない。しかも、日本のみならず世界的にも稀な人気を獲得したチェリまほ。


大好きですよ、これだけ文句言ってても、それは変わりません。悪かったのは最終回だけですから。スピンオフも楽しくて笑わせてもらいました。なんらかの続編やスペシャルは現段階では全く分かりませんが、ひょっとしたら・・・を願いたいと思います。


『チェリまほ』🍒最終回感想。残念がいっぱいだった。クィアベイティング Queerbaiting – BAD ENGLISH! so what?


もちろん買います、ブルーレイ。

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いろいろトラブってなかなか着かなかった挙句に2本組でないという致命的なミス(広告分かりにくくて)というトホホだったけど、名入りだから記念に残します。

*1:少女漫画由来、カップルの初夜が描かれたのち、朝がた窓辺に小鳥がチュンチュン鳴く