雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

悲喜こもごも!貴城けい宝塚宙組新トップ就任発表

事件というものはヒトゴトであればそれなりに面白いものですが、当事者になってみるとそれはそれはひどく狼狽するものだなあ、と思います。ある意味、宝塚ファンになった時から、自分のご贔屓のタカラジェンヌが関連しようがすまいが、歌劇団がくり出す怒涛の人事異動で右往左往したりを何度も経験することになるわけです。残念ながらそうは言っても、泣いても騒いでも結果が覆されることはなく、我々ファンは蚊帳の外にいることには変わりないのですが。


5年にわたって宝塚の宙組2代目トップを務めていたタカコさん(和央ようか)とベテラン娘役の花總まりさんの退団が発表され、まさに昨日12月20日付で次期トップ男役に生粋の雪組育ちのカシゲちゃん貴城けい)とトップ娘役に紫城るいちゃんが決定しました。全くの”寝耳に水”なニュースは、巷でのトップ有力という噂もほとんどないまるで”抜き打ち?”状態。一部のファンには激震が走ったと思います。かくいう私もいまだ動揺しまくりです。


カシゲちゃん自身にはとてもおめでたいことこの上なしなのですが、今はなかなか手放しで喜べないのも事実。和央&花總コンビの後を受けて、長身揃いで他組ともちょっと雰囲気の異なる宙組への異動、それも現役トップと一度も共演しないまま?!バトンタッチという異例中の異例の扱い。


更に、一時は”雪組の御曹司”と言われたほど、全く組替えを経験したことのなく準トップの地位にある彼女です。入念に作品を選び、周りを地固めしてから「トップ引き渡しの儀」が行われたのは過去の話だということは分かっているのですが、それにそれにしても宙組の皆さん、初めまして・・・」という状態で入っていかなければいけないカシゲちゃんは始めからかなりのハンディを背負わされていると思います。


雪組「ベルばら」の公演終了後、翌日から宙組異動、しかも宙組のトップサヨナラ公演は4日後からスタート*1、8月の博多座お披露目公演までカシゲちゃんのスケジュールは一体どうなることやら?とあれこれ頭を駆けめぐってしまいます。いやはや、これだけ衝撃を受けるとは、私も立派なカシゲファンだったのね〜(笑)などと思ってしまうほど。


そして、しっちゃかめっちゃか状態にも関わらず、「博多座お披露目公演」がメインイベント行事として、来年の年間観劇スケジュールの比重を再構築させ、それに向けてのマネーバランスをおぼろげに思い描いてしまうのが悲しいサガです。


悲嘆にくれるだけではなく実は楽しみのほうも大きいのは確かです。おニューな宙組で、個性や存在感をアピールして、(しかも随一の美貌も武器に)ステージに立つカシゲちゃん。うまくいけば、全く新しい魅力も見せてくれるかもしれませんし、ほとんど組んだことのない娘役トップのるいちゃんや宙組の組子*2達との絡み合いはどうなるか興味津々です。


特に私としては、宙組で最も期待をかけているともちん(悠未ひろ)との共演が楽しみでなりません。るいちゃんも月組時代、男役から娘役へ転換する時期もよく見ていたし、タニちゃん(大和悠河)は見飽きるほどに馴染みな(笑)男役だし、考えてみるとなかなか面白い顔ぶれではあります。


しかし、カシゲちゃんになった途端に日本物のお芝居がくる、ていうのは・・・苦笑いするしかありません。もしかしたら宙組の日本物は、タカコさんお披露目公演時の『望郷は海を越えて』以来ではないでしょうか。


もともと私が宝塚ファンになった直後に宙組でトップお披露目だったのがタカコさん。以来、宙組は不動のトップコンビで成り立っておりました。勝手ながら私の中で宝塚は、宙組以外の4組だけで成立しているというくらい、宙組には距離を感じていたのも事実。新種の気風はもちろんですが、その現代的でアッサリとしたムードがどうしても受け付けなかったのだと思います。


演目として『ベルばら』『ファントム』と言った華々しい作品もありましたし、それ以外の作品もいくつか見ていましたが、特別ファンになるようなジェンヌさんもいなくて、とても印象が薄く、カシゲちゃんのトップ就任がなければおそらくあと数年間、全く見ないままでいった組かもしれません。


5組もある宝塚ですから、1組くらい見ないで済めば金銭的にも楽なのは間違いないのです(笑)。しかし、この5年あまりで世代交代も相当進んでますし、ともちん含め下級生に「これは!」と思う逸材がゴロゴロ潜んでいそうな宙組、と認識を改めつつあったのでこれから思わぬ展開が待っていそうな気もします。


熱心で真面目で気丈で’アネゴ肌’なカシゲちゃん、男役としての芸もちゃんと出来上がっていますし、抱えるハンディは大きいもののトップの資質としては全く心配はしてません。むしろ、冷静に考えると、私自身がもっと雪組での2番手時代を楽しみたかった、仲良しの雪組トップのコムちゃん(朝海ひかる)とのコンビをずっと見ていたかった、というとても贅沢な悩みがあっただけかもしれません。ともあれ、こうなったら願いは一つ、

カシちゃん、ケッパレ〜!!
(なんか妙に熱い発言が続いてますね(苦笑))

【 タカラヅカの光と影 】


カシゲちゃんの突然の就任劇を見ていて感じたのは、いよいよ歌劇団も悠長なことは言ってられない時期になってきたのかな、ということです。昔のように、”ちょっとくらい伸び悩んでいても””集客が苦しくても”長い目で見てあげればそのうちきっと・・・という親心?のようなものが感じられず、即戦力を求めてるという感じがしてます。まさに待ったなし、という切羽詰った感じ。


それは単純に言って集客力の低下、スター不足、ヒット作や名作がなかなか生まれない昨今の現状がもたらしたものであるし、つきつめれば劇団の体質や戦術不足もあると思います。組カラーなどと言って各組の個性を大事にできた時代と違って、今や2つの専用劇場での通年公演の他に、ある程度のキャパを持った劇場でいくつもの公演を打たねばならない、当然集客の問題は最重要事項。そのために今のジェンヌさんにかかる肉体的&精神的負担は相当なもので、疲労からくる怪我や病気も増えているのが昨今見ていてとてもツライことです。


もともとあらゆるパワー(実力・人気・財力・宣伝効果・カリスマ性・人海戦術・運)がなければトップや路線系*3になることは難しいのですが、数値で割り切れない様々な要素があるのも宝塚の悲哀であり、面白さだと思います。


組のイメージに合うか、2番手や3番手のスター達&娘役とのコンビネーションはどうか、組子に人望はあるか、そして劇団員としてこれまでいかに頑張ってきたか、なども選考要素になってるのが、なんとなく裏に感じられて、まるで政治の世界さながらの駆け引きが展開されているようです。そんな荒波に揉まれてジェンヌさん達は日々自分を信じて闘っているのだと思います。


とっくにトップになっていてもおかしくない人材が残っていたり、たまに信じられないような抜擢があったり、と’この世界’は何時まで経っても思わぬミラクルな人間ドラマを見せてくれて、それに合わせてファンは一喜一憂している状態。
まったくもって「浪花節だよ、宝塚は〜♪」という感じですね。

*1:さすがにこれには出演できない気がしますが・・・。

*2:組内の劇団員

*3:将来宝塚の看板スターになるような人材として抜擢されていくジェンヌのこと。