母と妹と共に教団ニルヴァーナに入信した光一は、テロ事件以後、施設に保護されていたが、祖父に預けられた妹を取り戻すために脱走する。偶然出会った大人びた少女、由希とちょっと変わった人々との触れ合いが彼に封印していた過去や感情を蘇らせる。
日本一有名な11年前のあの毒ガス事件と”教団”を背景に、そこで生活し、やがて解放された子供達を想定した映画だと思います。あらすじで読む以上にとても”リアリティ”が強い映画で、あの頃のことが走馬灯のように思い浮かびました。
「世界の終わり」を感じたあの1日(地下鉄サリン事件)は、今でも鮮明に思い浮かべることができます。しかし、私達が知ってる社会的重大事件と、教団の中の信者達の視線というのはかなりブレが激しいというのが、この映画の淡々とした描写を見ると実感できます。
光一は入信後も時折、反抗心を見せるのですが、保護されてからも’教え’を捨てることはありません*1。誰にも本心を見せず、無表情に前へ進む彼に、身一つでぶつかっていく少女・由希。父親の暴力を受けて屈折した子供でもある彼女も、おせっかいだけど面倒見の良い優しい一面も見せて、時折和ませます。ドキュメンタリーのようにマッタリと冗長な部分もありますが、なかなか考えさせられる映画でした。シビアな題材ですけれど、無名の二人の子役が生き生きと演じていて好印象でした。
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ビターな映画。子役がとても巧い。
最近の天気のようにちょっと”どんより”とした映画ばかりになってしまいましたが、同じ暗め系でも韓国映画はやはりリアルで直接的な描写が多く、日本映画はどこかメルヘン要素があって非現実的な結末の見えない終わり方が多いなあ・・・などと違いを感じました。
*1:実は教え自体より、罪を犯して逃走している’母’への恋慕が大きいと思いますが。