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雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

往年の名選手(3) エカテリーナ・ゴルデーワの軌跡

フィギュアスケート

時は'88年カルガリー・オリンピック。伊藤みどりさんの華やかな五輪デビュー!で感動が焼きついたその大会で、一組のペア・スケーターが金メダルをとりました。エカテリーナ・ゴルデーワセルゲイ・グリンコフペア。私が今までで唯一好きになったペアのコンビです。


彼らを初めて見たのは、その少し前のNHK杯?だったような気がします。当時、伊藤みどり選手が活躍していたとはいえ、日本でペアの競技を見られるのは、五輪かNHK杯くらいしかなかったので。目に留まったのは、凸凹コンビというくらい身長差があるゴルデーワ&グリンコフペア。


女性のエカテリーナ・ゴルデーワ選手は、当時15,6歳の若さもありましたが一際少女らしいみずみずしさに溢れていて、惹きつけられました。更に滑り出せばまるでカモシカのような細くて美しい足と、小柄ながらも軽快でスピーディなスケーティングですぐに目が離せない存在になりました。


とりわけグリンコフ選手が軽々と彼女をリフトした時は、まるで軽業師のような身のこなしで空を飛んでるかのよう。そのグリンコフ選手は、「物静かで地味で背が高い、あとは安定感があるなあ。」というだけの印象*1だったので、もっぱらゴルデーワ選手の華やかさが強烈だったのです。


カルガリー五輪の後は、残念ながら彼らを追いかけることはなく、風の噂で結婚した、と聞いた時は「やっぱりペアだと常時一緒だから結婚するんだろうなあ・・・。」などとおぼろげに思ったりして。更にまた数年が経ってから、夫であるグリンコフ選手の急死を知って衝撃を受けました。

【愛しのセルゲイ・・・急逝した愛する夫】


それから早10年あまり。彼女の著書(「愛しのセルゲイ」)があることは知っていたものの、永らく記憶の端においていたのですが、ネットで購入し、先日ようやく読み終えました。エカテリーナさんの半生を書いたこの本は、当然のことながらほとんどセルゲイとの愛の思い出とスケートの話で占められています。


もちろん、その背景には旧ソ連からロシアへと国が激動する最中の印象的な出来事や篤い家族愛も綴られています。コーチや振付師達との軋轢や友情などもありますが、まるで恋愛小説そのままのような二人の「愛の物語」がセルゲイの死の瞬間まで続くのです。思い出は美化されるにせよ、少女から大人の女性へと脱皮していくエカテリーナは、まさにヒロインです。


コンビを組んだ最初はあまりにも子供すぎて、年上のセルゲイは憧れの少年であったこと。あまりスケートに熱心ではない、と思われていたセルゲイを外し、別な相手と組ませられそうになったこともあるという話もありましたが、彼女自身は当時から彼以外の相手と組むのは考えられなかった、と書いてます。


一所懸命女になろうと背伸びするのではなく、自然に任せて少しずつ魅力的な女性に変わっていくエカテリーナに対し、やがてセルゲイも無関心ではいられなくなっていくあたりが面白い。エカテリーナを稽古中に氷上に落としてしまったあたりから、ハッキリ好意を示さなかったセルゲイの彼女を想う気持ちがジワジワと伝わっていくのですが、なかなかじれったいほど純情な二人です。


後半は、だんだんと肩や足の痛みに悩まされていくセルゲイを気遣い、幼い娘ダリアを親に預けて競技を続けることへの心の揺れ動きなどが文面に表れていきます。2度目の五輪優勝や世界選手権の連覇のカゲでいつもベストの演技を、と充実したスケート人生を送っているさなかに、突然最愛の夫がスケートリンクで倒れ、心臓麻痺で帰らぬ人となってしまいます。


今までの幸せの数々が一瞬にして過去のものとなり、悲嘆と混乱の中に放りこまれるエカテリーナ。しかし最後にセルゲイの追悼として開かれたスケート大会で、彼女は一人でスケートリンクに立ち、渾身の力で滑るのです。


二人の歩みを特集したドキュメンタリー映像が一時期、Youtubeにありました。(今は残念ながら削除されてしまったようです。)少年とちっちゃな少女がコンビを組み、長い道のりを辿ってきた姿を見て、その歴史の重みに溜息。現役時代も、もっと見ておけば良かったなあ・・・と後悔の念がありました。

【新しい幸せを得たエカテリーナ】


そしてこの本が出版されてから10数年の歳月が流れ、現在のエカテリーナはどうしてるんだろう?と思い探してみると、衝撃の事実が!!なんと彼女は、'98年長野五輪男子金メダリスト、イリヤ・クーリック選手と再婚していました。いやあ、かなり驚きました。もう、6年も昔のことだったんですね。


クーリック選手と言えば、ロシア系正統派美形スケーターでヤグディンプルシェンコの一つ前の世代。長野では日本風の黒の衣装(忍者とかそっち系を思わせる)を着て、剣の舞のような振付で滑った記憶があります。私の中ではダルタニアンで長野のリンクを熱狂させた、仏のキャンデロロ選手の伝説的なスケーティングの陰に隠れてしまった感がありますが、当時は女性ファンの熱い声援が絶えないカッコマン(笑)でした。


一体、二人の間にどんなロマンスがあったのでしょうか・・・こちらも興味深々です。姉さん女房となったエカテリーナは、クーリックとの間にも娘エリザベスちゃん(父親そっくりの美少女!)をもうけ、すっかり大きくなったダリアちゃんと共に変わらず、スケーターとして活躍しているそうです。


母親も二人の父親も五輪チャンピオンの娘、というのもありえないほどすさまじい(笑)ことだと思いますが、愛娘達はマイペースで楽しくママと滑ってるようで、なんとものどかで良いなあ、と思いました。リンクで娘ダリアちゃんと滑るエカテリーナさんの映像に軽く涙。。。辛い出来事を克服して新しい幸せを手にした彼女に祝福あれ!


◆2009/11/19追記:「大手小町」サイトである方が紹介された記事が目に入りました。長女ダリアの最近のインタビュー記事です。彼女は高校生になり、スケートを止めてラクロス(LACROSSE)」というスポーツを始めているそうです。新しい人生を歩みだしたのですね。一方で妹リズは、まさに厳しいスケートの稽古に励んでいるとか。超有名五輪選手を両親に持った娘の飾らない素顔があります。→ Q&a With Daria Gordeeva-grinkova: - Daily Pilot



ちょっと前の映像ですが、ダリアちゃんがハツラツとしていて可愛いので気に入りました。エカテリーナのスケートはただ滑っていても往年の美しさは、そのままですね。親子のスケートもいいもんだわ〜。

参考サイト:www.gg-corner.de - Ekaterina Gordeeva & Sergei Grinkov - a G&G and Katia web-site


愛しのセルゲイ

愛しのセルゲイ


エカテリーナの自著です。赤ちゃんだったダリアも随分大きくなりました。

*1:マスコミの扱いもエカテリーナ中心だったようで、差別的な扱いにエカテリーナが憤慨していたようです。