雅・処

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「インディゴの夜」仙台公演 観劇記  ”男役”再現に戸惑う

宝塚退団後、「カシちゃん(貴城けい)の舞台が仙台に来る!」と知って、勢いでとった公演チケット。実に1年半ぶりの逢瀬で、ございました。至らぬファンなので、テレビドラマのオンエアもほとんど見ないまま、完全”無”の状態で電力ホールに向かいます。ここは、老朽化も甚だしい老舗ホールですが*1、トイレが改修されていて、少し嬉しく感じました。席もかなり前のほうでラッキーでしたが、後部席を振り返ってなかなかの集客に驚きました。


昨年、舞台版『風は吹いている』もここで見たのですが、今回と同様に、客層(20代始めくらい)が近いなあ、と感じました。そこそこ人気の出てきた?新鮮な若手男優を揃えているからでしょうか。売り場に並ぶ写真やポスターで、「若者達主体のお芝居だったっけ?」と再認識。ああ、でも私は全く知らないんだよなあ、この人たち・・・なんて、ちょっとノリについていけるか一抹の不安が過ぎります。


ところがどっこい、舞台を見続けていてどうにも気になったのが、真山明大君。どっかで見覚えがあるような、「なんだっけ・・・?」としばらくモヤモヤ悩む。終演後、パンフを開いてビックリ。『フルーツバスケット』に出ていた子だ!更に驚いたのが、双子の高木万平・心平兄弟、『風は吹いている』に出演していた、と。なーんだ、知らないどころか半数のキャストは、ちょっと顔馴染みってわけだったのね。


以下、若干ネタバレです。まあ、ネットに書いてれば、大なり小なり、ネタバレに決まってるんで、わざわざ書くこともないと思いますが・・・。(さすがにオチは、バラしませんけど。)仙台公演は地方公演のスタートなので、これからどんどんアドリブが変わっていくかもしれませんね。

【ドタバタ劇からスタート】


第一幕は、やはりノリで勝負!な感じ。物語というより人物紹介&導入編の趣。パワーで押していったようなテンション芝居が炸裂。その立役者は、通りすがりの脇役、だと勘違いした研三(瀬下尚人)さん。やはり芸達者で安定感があるし、一人でパワーを生み出してました。本当にこのまま、芝居にすらならぬまま突っ走っていったらどうしよう?!と不安になったものですが、カシちゃん扮する蘭子が登場すると、少しずつ芝居らしくなってきました。


当初、あまり出番は多くないかも、と期待してなかったのですが、どうしてどうして、紅一点の蘭子はキーパーソンでした。彼女の参加がなければ、若い男の子達の青春群像劇になってたでしょう。と言っても、比較的予定調和な筋書きで、ハラハラ感は少なめです。一番驚いたのは、蘭子の男装だったかも。カシちゃんが宝塚出身だからこの役がきたのか、あてがきなのかは不明ですけど。


いやはや、なんてったってあの『DAYTIME HUSTLER』(2005年作)のローレンスを思わせる男装で、一瞬にしてタイムスリップ!髪型もあの当時にソックリでした。(これはカツラだったのかな?)いやあ、昔とったキネヅカとはよく言ったもので、退団しても「男役」のしぐさとオーラはちゃんと残ってました。いや、今からでも復帰できますわ、これなら(笑)。


難点を言えば、正統派男役の作り込んだキザな仕草ばかりなだけに、そんな動作をしない現代青年達の中にいると、かなり”浮く”ことでしょうか。百年の夢も醒める感じで、若干イタイタシイ感じがしてしまいます。まして、早々に「女」が演じてる、と種明かししちゃってるところから、この脚本の不味さを露呈してます。お芝居なんだし、嘘でもいいから”男”として扱ってやれよ!っての。


途中、ある趣向で劇場内をキャスト達が縦横無人に走り廻るのですが、客席から女の子達のキャーキャーという歓声が上がる一方、やっぱり男装のカシちゃんに目が離せず、なんだか挙動不審状態。あまり前ばかり見ているのも怪しいか?と、視線を泳がせるのですが、本命はやはりこちらなのですから仕方ない。そんな奴は、私だけだったのでしょうか。


はしゃぐ若者達を見ながら、面倒そうに”仕方ないなあ、お仕事だから”という演技を続けるカシちゃん。近寄った時に、ドサクサに紛れて握手!ファンに優しい彼女は、その瞬間だけ、本当に優しい目で握手に答えてくれました。「ひょっとしてファンだってバレたかしら?」とか思ってみたり。ファンの顔を良く覚えているという彼女ですが、さすがにこんな”お久しぶり”なファンの顔を覚えちゃいないですよね。なんせ一年半ぶりだし(汗)。


そういえば、ヅカ時代はこんな至近距離で、”輝くスターさん”だった彼女を見ることができなかったことを思い出しました。特にファンになってからは、お茶会とか出待ち(懐かしい!)などのイベントでこそ、短時間でも至近距離で見たり握手してもらう機会があったけれど、舞台観劇の時は、2階席が多く、双眼鏡が手放せない状態でした。


退団してからのほうがずっと近くで見られるのですが、女優のカシちゃんは比較的冷静に見てしまいます。しかし、男役に戻った彼女を見ると気恥ずかしい反面、アドレナリンが上昇するんですよねえ。よりにもよって”ローレンス”だし(笑)。そういえばローレンスも教師なのに「ホスト稼業」に身を投じる、という役回りでしたね、もしかしてそれがカシちゃん特有の”遊び心”かしらん?

【芝居らしくなってきて】


第二幕に入って、登場人物の過去が語られたりして、お芝居めいてくるのですが、ちょっとオーソドックスすぎるというか、「脚本が弱いかも」と思ってしまいました。蘭子が、ホスト達にちょっかい出して店をのっとろうとする”理由”も”手管”も、芝居の中核をなす場面にしてはやや弱い。せっかくのヒール(悪役)どころの面白さが生きてないような気がします。


だからこそ、深く考えずに見られるという利点はありますが、舞台という立体空間なのに、物語が平面的な構造に見えてしまうのが残念でした。あくまでテレビドラマのスピンオフ的なものだからでしょうか。パンフを読むと脚本家の方も悪戦苦闘して作ったようですし。確かにTVドラマという下地があるだけに、自由度が制限されちゃうのはあるでしょうね。


中盤での蘭子の長ゼリフ。カシちゃん熱演・・・しかし、ヅカチック(汗)。というか、まるで吼えるように台詞を吐き出す演技が一本調子で、どうにもクサイんですよね。周りが宝塚じゃないだけに、若手俳優達との温度差を感じて、見ていてちょっと落ち着きませんでした。もっと感情を溜めて、ピークの時だけ激昂したほうがインパクトあるかも、なんて。


若い役者達のほうが、不器用で未完成な感じが役とマッチしていて、それはそれで自由さを感じました。若手の中では、モサク役の心平君が気に入りましたね。ジャニーズの玉森君にも似てるし、万平君より頬がふっくらしていて可愛いかったので、という単純な理由です(笑)。ちゃっかり「INDIGO 4」のシングル曲もこの芝居で宣伝してましたが、4人とも精一杯感がラブリーでした。(”雪月花”に通じるものがありますね。)


エピローグは、ちょっとオシャレな感じで良かったです。ドレスに身を包んで、レディへと変貌したカシちゃん。どこの女優さん?なんて思っちゃう感じ。前スリットのドレスだったので無理だったと思いますが、華麗に足上げして欲しかったなあ。。。ヅカファンは、女に欲情するエロが基本ですから(←違うって)。


ココロ -Dear my friends-

ココロ -Dear my friends-

なかなか楽しい曲でしたね。ダンスも努力賞!な感じです。


インディゴの夜DVD-BOX 1

インディゴの夜DVD-BOX 1

ドラマのDVD-BOXも続々登場のようです。

*1:何せその昔、ここで百恵ちゃんのコンサートを見たくらいですから。