雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

スタジオライフ演目 勝手にランキング!(2)

再演して欲しい作品たち

前回から、また日にちが空いてしまいましたが、ライフの会報や新作ニュースもいろいろ届いているので、早いとこまとめなくちゃ、という感じになりました。「勝手に作品ランキング」の続きです。思えばランキングって普通下から書いていくものよね~(汗)と思いつつも、思い入れが強い作品のほうが書ける、というのもありまして上からの順になっちゃいました。

6位 訪問者


2000-2001年の連鎖公演で初めて見て、あまりの辛さ・痛ましさに二度見る勇気が出なかった本作。甲斐さんのグスタフは、漫画から抜け出たような風貌と甲斐性無しな親父ぶりで驚かされました。「あの子はまだ7歳なのよ」(by ヘラ)という台詞に驚愕したのは、"チビ"オスカー役が岩崎大ちゃんだったからです。180cm超で子役という衝撃の配役でした。


この時、母のヘラ役は、Jr.3の佐野さんと石飛さんのダブルキャストで、私は佐野さんのほうを観ましたが、石飛さんのヘラ役も見ておけば良かった・・・と今尚、後悔するほど。でも、すでに「トーマの心臓」連鎖公演に中毒状態で、ヘロヘロになりながら点滴打って通ってた状態でしたから、あの時期「訪問者」を見たら、吐いてたかもしれない。。。


近所の姉弟を演じた、深山君とちゃんコンビもわずかな出番ながらすごく印象に残ってますし、たった1回だけであれだけ焼きついた公演は珍しいです。まるでお互いの”絆”を探すようにさすらい続ける親子の葛藤と愛しているのに報われないオスカーの思いがズッシリと重くのしかかった作品です。この頃からエネルギー全開だった大ちゃんのオスカーは、かなり激しい気性の少年に映りました。


一方、およそ10年ぶりの再々演(2010年)では、作品の中にもほのかに宿る”幸せだった頃の家族”が垣間見えて、辛いだけの印象から脱してました。それは、高根さん演じるグスタフが、一所に安住できない放浪癖のある気弱な男に見えたからかもしれません。そして、ヘラを演じた吉田君のちょっとわがままで我の強い未成熟な女性像が高根グスタフと絶妙なバランスを取っていてすんなり引き込まれました。


どちらも少しずつ何かが欠けているような不完全な夫婦の間に、無垢な瞳の荒木オスカーが立っています。両親の二人とも大好きなのに、少しずつ平穏な暮らしが崩れていってしまう様が、静かに語られていくのです。誰が悪いわけではなく、自分の本能を抑えてなんとか「普通の家族」を演じていこうとしている3人がそれぞれに切なくて、「訪問者」って演じる人達の個性でこんなに変わる芝居なのか、と驚きました。


それにしても、ある程度元気な時に見ないとこの芝居の後半の台詞はキツイですね。毎回、最後は、涙腺決壊地獄に陥ります。

7位 月の子


個人的に13回という、連続観劇最多記録が2002年の「月の子」です。いやもう狂ってましたね、この頃は。今だに「この作品、そこまで良かったか?」(笑)と自問してしまうような苦い思いもあるのですが、この時は、私にとっての最高のキャスティングだったんです。それからインパクト大なセットだとか、幻想的なライティングだったり、ライフで初めて見たSF作品で、おまけに「アメリ」の挿入曲があまりにもハートに突き刺さったこととか、ストーリー自体よりもその他の要素がてんこ盛りでした。


”でこぴん”髪型でどう見ても少年には見えない、というビジュアルでありながらも、セツ役で衝撃的に少年ぶりを振りまき、挙句は美少女にまで変身してしまった、恐るべき林勇氏の魔力にひっかかってしまったことが要因です。そして、笠原さん、石飛さん、山崎さん、曽世さん、大ちゃん、及ちゃん、芳樹君、深山君、高根さんなどオールキャストといってもいいくらいの豪華な顔ぶれが揃って、キャスティングも文句無し、という「ザ・スタジオライフ」の芝居。


私にとっては、ジュニ7が入団してからのスタジオライフというのは、それまでの劇団のカラーとガラリと変わってしまったという印象が強いのです。(たぶん今でも本当に見たいのは、ジュニ6までの役者が揃った舞台なのかもしれません。)更に客演が入れば明確にまた空気が変わる。ということで”夢よ、もう一度!”を狙って上演された「MOON CHILD」のほうは、ほとんど記憶にありません。


アートスフィアという大きな劇場で披露された「月の子」は、かなりの成功を収め、公演終了後には、FC会員数が激増した*1、というおまけまでつきました。そこからチケット入手難時代が2年くらい続いて、当時、古参のファンはチケット争奪戦にヒーヒー言っていた、という状況でした。今にして思えば、スタジオライフ的バブル(笑)な時代でした。


8位 THREE MEN IN A BOAT+ワン


ウェストエンドで繰り広げられた観客参加型の芝居がこれです。登場人物は、たったの4人。おおまかなストーリーは決まってますが、役者の裁量でアドリブが花盛り。次第に原型を留めなくなっていくほどの自由なお芝居でした。お気に入りは、2002年のテムズチーム(石飛、林、前田舟見)。派手な色合いのジャケットを着たイギリス紳士達は、なぜかオネエ言葉で大盛り上がり!


もうその設定だけで腹をよじるほどの可笑しさで、笑い地獄に陥っておりました。後にも先にもあんなに笑い転げた芝居はないくらいです。更には、客席に座る度に毎度のようにいろいろな”静物”を割り当てられて、参加させられる私達。100円ショップで仕入れたという、ミニバケツや食器類*2で音楽を奏でたり、3人と1匹の気ままな小旅行を一緒に過ごしていました。


時間が流れるのが早くて勿体無くてずっとそこにいたいと思うような、めくるめく幸せな時間でした。林さんの美声と石飛さん・前田君のコーラスで歌われる「星に願いを」の素晴らしさにも、とろけまくりだったあの日々。もう帰らない青春の日々・・・、なんて感じでふと胸に懐かしく甦るのです。

9位 OZ


直近の本公演が「OZ」再々演でしたが、残念ながら未見のため、最新作はDVDで鑑賞することとして。「OZ」は、原作漫画も読みましたが、”第三次世界大戦”というネタが出てくるだけあって、ちょっと古い時代のSF作品の味わいを持っています。原作の人工的な美形サイバノイドを、生身の人間が演じていることや、目を疑うようなシンプルすぎるセット(笑)で、幾何学的なOZ世界を視覚化してしまうところに脱帽したり。


そんでもって少女漫画特有のまっすぐな「好き」という気持ちを(人間だろうがマシーンだろうが)スタジオライフ流のピュアな愛の世界に直球で放り込んでしまうところもさすがです。なんだか妙に人間臭く不器用に見えてしまった1019が、ムトーへ持ち続ける”報われない感情”とか、原作通りというわけではなく、ライフ独自の「OZ」を創り出したという意味では、成功作と見ていいかと思います。


少女漫画の作品化は多数見ていますが、どれもが手放しで褒められるわけではなく、記憶の彼方に消えてしまうことも多いのです。それゆえ再演を繰り返す作品は、それなりに観客の満足や人気を集めたということなのでしょう。全体的に好き、というよりところどころ印象的なシーンがあり、ライフ役者には珍しく「男性的」な魅力もストレートに見せられるところが一般ウケしやすい作品かも、と思いました。私的には、「また数年後、見たい!」って思う作品ではないんですけど・・・。

10位 HAPPY Families


なんとなく10位は、「白夜行」にしよう、と思っていたのですが、いざとなるとあの世界観が大の苦手*3だけに抵抗があって、「HAPPY Families」に逃げてしまいました。ゲイの恋人を持った父親に会いに来る娘と息子。小さな家で巻き起こる些細な諍いが思わぬ悲劇を巻き起こしてしまう、という小ぶりで味わい深い佳作。


私が初めて見た「ジ・アザーライフ」公演だったこともあり、特に印象に残りました。少人数の実力派役者だけで演じられる無駄の無い、それでいて水面に浮かぶ波形のようにジワジワと胸に残る、優れたシナリオの持ち味を実感させられました。ゲイ役をあまりにも自然に演じこなしていた曽世さんの綺麗なイエローのVネックセーター姿と、素敵な石飛姐さんのショートボブの髪型も目に焼きついてます。


休憩時間には、女性の仕草そのままに煙草を吸いながら、香の良い珈琲を沸かしていた石飛さんの姿が今でも浮かんできます。スッピンにワンピース姿で普通に近所を歩いて、道行く人の誰にも「男子だと気付かれなかった」ほどの娘ぶりの舟見君や、勝気で素直になれない息子役をこれ以上ないくらい一体化して演じていた深山君、子供達にどう接していいかオドオドする父親役に高根さん、など、全員が適役で唸りました。


【次点】

DAISY PULLS IT OFF
WHITE 
TAMAGOYAKI
十二夜
SONS
鑑定医シャルル
パサジェルカ
孤児のミューズたち


一作一作、思い出し語りだせばキリがありません。さして、琴線にひっかからなかった作品でも、何かしら誰かしらは、印象に残っています。それがご贔屓劇団の良さなんでしょうね。


miyabi2013.hatenablog.com

*1:一説によると500人以上だったとか。

*2:千秋楽には、観客が記念にもらいました。

*3:幼少期の忌まわしい事件の謎解きで、泣きながら抱き合う奥田君&松本君の回想シーンだけは、いたく感動しました。