雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

話題の劇場映画 連続鑑賞

本当にたまたまですが、ようやく涼しい秋にドラマ系の日本映画が続いたので、立て続けに見てきました。今まで映画館がやや家から離れているため、週末にしか行かなかったのですが、近くにシネコンが出来たこともあり、少し敷居が低くなったこともありますし、ようやくムビチケの買い方&使い方を覚えた、ということも大きい。


紙チケットからムビチケだのWeb予約への移行が早すぎて、進化についていけない自分。というか映画館も不親切ですよねえ、「自分で調べて使い方覚えろ、便利だからこっちへ切り替えるぞ」ってのは。高齢化社会へ突入しつつあるのに、これじゃあ情弱者をどんどん切り捨てることになるじゃない!と今の日本の”省力化の波”強制を垣間見つつ・・・。


さてまずは、昨日見た作品から。なるべく(ストーリー的な)ネタバレなし、で書きたいと思います。長くなりますが、よろしくお願いします。

亜人」 佐藤健綾野剛


人生初のIMAXシアターで、少し期待しつつ鑑賞。500円プラスしたものの、2Dで大画面&大音響でこの値段はボッタクリ・・・かも、と正直思いました。銃の打ち合い多発映画だったのでやかましいだけで、少なくともこの映画は別にIMAXでなくて何も困らない映画でした。


好きな綾野剛君の出演作じゃなかったら、全く通り過ぎてたタイプの映画でしたし、原作コミックも未読なので映画のストーリーラインに大きな期待はなかったものの、あまりにストーリーが無さすぎでそのことに唖然、としました。駄作とまでは言いませんが、完全にシュミの世界観。まさに長い原作を切り取って見栄え良く調理したしただけ、という感じですね。


佐藤健君も剛君も「アクションを見てください」を力説していただけあって、見どころはそこなんでしょうが、銃での殺し合いにもだんだん食傷してくるし、亜人が何度でも生き返るという絶対的な存在だと、生身の人間は負けるしかなく、ひたすら負け試合を見てるのはしんどい。


あまりダメージ強い形で残虐なシーンは見せなかったのはせめてもの救いでしたけど、肉体の切断シーンが苦手なので、腕をガンガン切り落とすのとか、嫌でしたね(見てるうちに麻痺してきますけど)。本当にストーリーが弱いのがイタイ。それなら肉体同士のぶつかり合いでやってくれたらよかったのに、亜人の分身(3D)が出てきて視覚的に邪魔するので、「だったら漫画でイイじゃん」となってしまう。


ちょっと気の毒だったのは、北朝鮮のミサイルが飛んできて、Jアラートは鳴るし、一触即発で戦争始まるかも・・・なんて国難な現代に、日本だの東京だのに亜人自治区作る、とか厚労省との全面対決だの、ネタがとても90年代チックなこと。「事件は会議室で起こってるんじゃない!」(by「踊る大捜査線」)な声が聞こえてくるというか。徹底的に時代遅れ感満載。


ということで印象に残ったのは、剛君にと健君の一瞬の肉体美(笑)だけ、でした。「ケチらずもっと見せてよ~!」って感じかな。一般人が中途半端に鍛えました・・・というライザップ的な肉体でなく、サイボーグのようなバキバキの身体。剛君の拘りの強さをつくづく感じます。撮影時期が重なる「武曲」「フランケンシュタインの恋」から、ずっと鍛えた肉体美なんですけど、彼は一体どこへ向かうのか(笑)。


自分的に面白かったのは、完全な悪役のサトウを演じる剛君に時折見えるお茶目な台詞回し&笑顔に「可愛い~」と感じたり、「老け役ガンバってるなあ~」と思う一方で、黙するヒーロー永井に感情移入していたこと。完全にヒーロー(健君)目線で、応援して見てました、さすが正義の味方の子供番組で育っただけあります。だから「早く誰かサトウ仕留めてくれ!」とか願って見てる自分が可笑しかったです。


俳優で言うと、川栄李奈ちゃん、千葉雄大君が侮れない存在感でした。川栄ちゃんは、AKB時代の終わり頃から、なんか気になる子ではありましたが、ここへきて活躍の幅を広げてる気がします。正直全てが彼女の力とは思いませんが、起用を無駄にしないがんばりは買いますね。千葉君も可愛い顔立ちがマイナスの裏に秘めた男らしさがある感じも出ていて、存在感がある子だなあ、と感心しました。


コミック原作で、とりわけ戦闘物って難しいですね。基本、現代日本の若者は”戦いたくない民族”ですし。「るろうに剣心」がヒットしたのは、の闘いがまだ残る、幕末という舞台設定だったということもあるかもしれませんね。日本人のせいか、どうしても銃のドンパチにそこまで魅力感じないんですよ。あっという間に死んでしまうし、非リアルでゲーム的にしか見えないから。


映画では、永井にも佐藤にも明確に憎しみや戦う根拠があまり説明されていないので、亜人が勝手に戦って善良な市民を巻き込んでる、という感覚が残ってしまう。ストーリーなしにアクションで、と言われても、そこに特段の驚きがないので、すごく良かった、と思えるものは何もない。可もなく不可もなく、な半端な映画になってしまった気がします。見る前にも想像していたことですが、想像以上に驚きがなくて逆に驚きました。


ま、だから綾野剛の裸しか印象に残らなかった、で終わってしまいました。川栄ちゃん、主役2人の裸には、「1800円の価値がある」(舞台挨拶の発言から)って鋭い読みだよ。でも、その値段の割に時間が少なかった・・・ですけどね(笑)。


亜人(1) (アフタヌーンコミックス)

亜人(1) (アフタヌーンコミックス)


「君の膵臓を食べたい」


映画館で見るかどうか迷っていたのですが、タイミングが合って見てきました。まさに「Love Letter」「世界の中心で愛を叫ぶ」から続く世界観。難病ものや人の生死を映画にする作品って嫌いなんですけど、そんな私も数年に一度くらいは見てしまいます。


登場した時から、浜辺美波ちゃんがまあ絵に描いたような日本的少女ヒロインぶり(いつも笑顔で明るくて、ワタシ頑張ってるよ、を見せつける、日本のエンタメ系にありがちなヒロイン像)で「うわっ」って嫌悪感を感じちゃったんですけど、なんとか彼女の持ち前の演技力で既視感に流れそうになることをカバーしていました。


あまり主人公の少年少女が直接的に愛を語らない分、繊細な感情のやりとりを心の中の言葉や文章の読み上げで表現しているところが、この映画の特徴でそれは小説的でもあって、二人の背景の映像も綺麗で、まとまりは良かったです。むしろ目を引いたのは、主人公二人の初恋のシーンよりも、ほんわか友人のガム君や桜良の親友・恭子のヤキモチが見えるシーンのほうでした。


おそらく小栗旬君が出てなかったら見なかったろうな、と思うくらい、あまりにも直球の青春純愛映画で、特に目新しい部分はほとんどない映画でした。でも、こういう映画って10年に一度くらいは出てくるんだろうな、という印象です。そして、こういう映画を通過して新しい人材も出てくるのだろう、と。若い頃の志田未来ちゃんを彷彿とさせる浜辺ちゃんや、ガム君を演じた矢本悠馬君は濱田岳君チックな味わいがある若手俳優だなあ、と思いました。


あ、そうそう書き忘れていました。まるで酷評のようですが、映画館では大泣きしました。結構、根は純情なもので(ホントか?)、大抵の作品は、哀しかったり美しいシーンにコロっと泣かせられるんです。泣ける映画に、大いに泣いてあげる、なかなか良いお客さんなのです(笑)。



三度目の殺人 福山雅治役所広司


是枝監督の話題作。やっと見に行けたのですが、私的に悲劇の鑑賞でした。劇場のクーラーが直撃し、途中から映画に集中できないほどトイレに行きたくなってしまい、痛恨の途中退席(涙)。当然、映画の1/3くらいから、もう集中力散漫でストーリーも頭に入らない状況で。緊迫したシーンが続くので、ますます緊張してトイレに行きたい…と苦しんでいたくらい。


ということで、まともな感想にならず。もともと、「殺人に対して白黒結果がハッキリつくような映画ではない」という表現を聞いていたので、役所さんの怪演を見に行ってるような感じでしたが、斉藤由貴さんの演じる被害者の妻の身勝手さを醸し出す演技力とか、(薄幸な少女役はイマイチ似合わないけど)表情で語る広瀬すずちゃん、とかストーリーはともかく、どの役者も演技は良かったです。


翻弄される福山氏もまさに適役で、鼻につくエリート役が似合う。でも、是枝さんは人間観察が好きすぎて、すっきりと決着がつく結末は不要な人なんでしょうね。巨匠になりすぎて、認められたいという欲望も無くなりつつあるのかな、ちょっと趣味的というか目的が不明瞭な映画が増えてきてるような気が。


全編見られなかったし、ほとんど気もそぞろだったので、後でしっかりリベンジしたいです。但し、また劇場では見たいというわけではなくて、TVやレンタルで鑑賞しようと思いました。自分だけの空間でゆったりと映画に集中して見たいです。


以前のインタビュー記事で、是枝監督は、「策を練って主張してくる役者が苦手」と話していて、そのたびに綾野剛君の顔が浮かんでニヤリとしてしまいます(笑)。きっと彼みたいな押しの強い役者は、きっと苦手な部類の俳優だろうな、と。でも、そんなミスマッチ感でも、いつか彼を使ってくれないかしら。剛君、人になつくの早いし、制作にも協力的な役者ので、映画に出たら出たで絶対監督のお気に入りになりそう。それこそ彼が40代になってからでも良いので。


三度目の殺人【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)

三度目の殺人【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)


ナミヤ雑貨店の奇跡 山田涼介・西田敏行


この4作の中で、一番作品的に安定していて面白かったのがこの作品。東野圭吾の人気作品で、珍しくハートウォーミングなお話という前知識だったので、安心して見ていられました。映画冒頭、昭和ノスタルジーなシーンですでに胸を掴まれてしまいました。話が複雑で、時間的に絡み合っているので、ところどころ雑な描写もありましたし、麦ちゃんのPV風ダンスシーンとか「あれれ」な箇所もありましたが、及第点。もう一度、じっくり見返したいです。


ナミヤ雑貨店のある商店街がすごく懐かしい情景で、あの古き良き'60年代のシーンをもう一度見たいです。夜の商店街に灯りがともっていくシーン、CGじゃなくて、お店の協力だという話もトキメキました。良くできたありがちのタイムワープもの、にしなかった原作はさすが、です。程よい緊張感、謎解きが最後まで集中力をとぎらせなかった。


やっぱりなんといっても、西田敏行さんの店主、浪矢雄治が一番の魅力ですね。もう西田さんしかこの役は無理じゃないか、と思うほどの魅力全開で。人生の年輪が全て演技に出ているようで、台詞がすごくリアルに響いてきます。名優の強みと信頼感ですね。原作のイメージ通りかどうかは不明ですが、山田涼介君も良かったです。ちゃんと映画の2大看板になるだけあります。


過去にHey Say Jumpのコンサートで何度かナマの姿を見ていましたが、今どきあまり見かけない、ポリシーを持って魅せようとするアイドルの山田君。背が低いという弱点もありつつ、本格的な大人への脱皮中という過渡期だと思いますが、いまだに強く醸し出す”少年性”のアンバランスさが今回は良い方に転んでました。


5年前、とあるイベントで一度だけ、至近距離で彼を見つめたこと(ほんの一瞬)がありますが、まさに「水も滴る美少年」ぶりにおののきました。19歳くらいだったかな、その年代とはとても思えないくらいクールで、ステージとは違ってどこか放心気味の遠くを見つめる眼差しに何か侵しがたい凄みがあり、以来、脳裏に焼き付いてます。本来は、知念君ファンだったのですが(今はそうでもない)、実はずっと昔からきっと山田君に惹かれていた気がします。


映画では、アイドルとしての輝きを押さえた、いぶし銀のような存在感が良かったです。どちらかということ3人組で一緒に出ていた、村上虹郎君のほうに関心があったのですが、「武曲」で魅せてくれた独特の存在感とは異なり、歳相応の普通の少年役でちょっと残念。アクが強くない役どころは、むしろ本当の実力が出やすいのかな。


出番は少なったけど、子役の中ではかなり好きな鈴木梨央ちゃんが出ていて嬉しかったです。梨央ちゃんには、本当に映画にしろ、ドラマにしろ、良い作品が集中すると感心します。


この作品は、映画だと時間が少し不足する感じでしたね。4時間くらいで調度良いのかも。話が詰まっているので、どうしても細切れな感じが勿体ない印象でした。ただ、日本映画らしい良心的な日本映画、でした。最近では、かなり気に入った映画でした。




miyabi2013.hatenablog.com

今こそ、不完全で野心的な面白い日本映画が見たい!

アニメと漫画実写と女子高生ばかりの日本映画、一体なんだ、この体たらくは!

まあ、タイトルからしてかなり喧嘩越しなのですが、去年くらいからまた邦画を楽しんできて、ちょっと盛り上がってきたのに、劇場で興味をそそられる面白い映画が全然ない、という状況にがっかりの日々。楽しみというほどではないのですが、9/9からの是枝監督最新作『三度目の殺人』だけ前売券を購入して、公開を待っているところです。


もともと是枝監督は、2作目の『ワンダフルライフ』と2004年の『誰も知らない』で決定的にファンになっておりました。ただ、『そして父になる』はまあまあでしたが、ここ最近は若干ぬるい作品が多くなった気がして、「もっと昔の作品ような、切れ味のある作品を作って欲しい」と思っていたところです。


世界的に「家族映画の巨匠」的な言われ方をされていますし、それは間違いではないのでしょうが、それだけではない社会に向ける鋭い視線も持っている方なので、もっともっと違う面を見たいのです。それは監督自身も実感しているようですが、現在の日本映画の厳しい制作環境(低予算ばかり、企画で冒険ができない)を考えると、闘いなのでしょう。


さて以前のネットインタビュー記事で、是枝監督の「女子高生とタイムスリップという題材からはそろそろ離れないといけないのではないか、と思います。」という言葉がちょっと話題になりましたが、今年のラインナップを見ているとまさに言言えて妙、という感じです。「三月のライオン」「銀魂」「ジョジョ」「東京喰種」「亜人」等、公開未公開問わず漫画の実写化多数。

邦画大ヒットの年に是枝裕和監督が「日本映画への危機感」を抱く理由(立田 敦子) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)



確かに今年に限らず、数年前からこういう流れは出来ていましたが、今年は輪をかけて目立つような。そして昨年の「君の名は。」大ヒットでますます拍車がかかっているアニメ映画、更には手を変え品を変え、タイムスリップ(1日前~10年前に戻るとか、昔よりも時間幅が小規模ですが)と、青春恋愛映画も腐るほど目にします。


エログロでない、大人のための良質な映画はどこへ行った!!いやもうさすがにうんざりなんですよ、お子様向け題材の映画は。もちろん、ちゃんと棲み分けできてればいいのです。かといってジジババ系の松竹映画にも食指はわかないし、ああ、本当にもうなんかないのでしょうかね、もっと大人の鑑賞に堪える映画ってのは。


いや、決して高尚な映画を求めてるわけではないのです。どちらかというと、趣味の偏ったワタクシ、今までハマった映画というのもかなり間口の狭い変な映画か、どっか欠けていて、完璧でない作品が多かった。昔からLGBT系やBL映画も好きですし、最近では『武曲』のすさんだ綾野剛に魂持っていかれていた(笑)のですから、お世辞にも”売れ線”映画が好きというわけではない。


私が昔見た映画で印象的なのは、『誘拐報道』『未完の対局』などの社会派ドラマ、さらに大衆娯楽大作でハマったのは『里見八犬伝』(薬師丸ひろ子真田広之主演)くらいでしょうか。どちらかというと実験作だったのに予想外にプチヒットした『櫻の園』('90年作)も好きでしたね。これは無名の女子高生達が主人公でしたが、青春恋愛映画ではなく(百合系の匂いくらい)、いわゆる男性目線のあざとさは薄かった、と思いますし。


若い少女は出てくるけれど、ブラックユーモア満載の『下妻物語』とか、同じ中島哲也監督の『告白』とか、初めて目にするドキドキ感いっぱいな映画というのもめっきり少なくなりました。作り手の「このくらいの”ギャラ安め”の若手人気俳優集めて、ある程度の人気原作で、ほどほどにヒットを目指す。」みたいな予告見ただけで、裏が読めちゃうような映画が増えてしまって失望感が大きいのです。


それから毒々しめの漫画原作は、判を押したようにブルーバックの背景(青みがかった映像処理のことを、こう読んでます)で処理するのももう止めませんか?この手の作品は、映画が始まったときから、すでに駄作の香りが甚だしいのです。どうして素人でも分かるような単調な映像表現しかできないのだろう?


どこぞの映画人が言っていたように、「日本映画は、半径10メートル以内で起こった事象しか題材にしていない。」「社会性も政治性も含まれていない。」という言葉が突き刺さります。いや別に、日本人が楽しむものだからそれでいいならいいのですが、監督の名前で味わう作品というのも全然なくなってきて、それが寂しいのです。


たぶん、映画人とか関係者、ある程度のキャリアを積んだ役者達は危機感を抱いているとは思いますが、どうにもできない事情があるのかもしれません。昔からお金をかけるほど駄作になる、という日本映画のジンクスは生きてますし。でも、こんな金太郎飴のように似たような映画ばかりで、作り手の信念もまるきり感じない映画ばかり公開になってるとさすがに、「死に瀕してるなあ、日本映画」と思ってしまいます。


10年後、どうなってるんだろう?いやはや、もっとワイルドでハチャメチャでハートがあって、不完全燃焼でもいいからズドーンと心に突き刺さってくる映画、誰か作ってくださいよ!って声を上げたいです。