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雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

宝塚花組『あさきゆめみし2』観劇記

16日梅田芸術劇場にて春野寿美礼主演『あさきゆめみし2』を見てきました。お隣のシアタードラマシティには、過去3度ほど入ったことがあるのですが当時梅田コマだったので、どんな劇場になったのだろう?と興味もありました。しかし、建物自体は、さほどピカピカではなかったので、「全面改装ではなく、一部改装だったのかな?」と少し落胆しました。


まあ、それはともかく寿美礼ちゃんの光源氏はやはり麗しかった!です。もともとがお公家さん的なうりざね顔の彼女なので、平安絵巻の衣装は似合いすぎ、です。それに加えて「あさきゆめみし」のヒットメドレーは、初演当時からどの曲も耳に残ってかなり好きだったので、それらを寿美礼ちゃんの歌唱力で聴けるだけで涙モノでした。


寿美礼ちゃん自身も円熟の極み、という昨今、安定感の中に一抹の寂寥感を感じさせ、芝居の後半、光源氏に悲しみのカゲがつきまうとうようになると、一層役柄との一体感を感じて、見ていて惚れ惚れしました。そもそもこの光の君、見目麗しさを武器に膨大な女性遍歴で、身から出たサビのような綱渡りを繰り返してる御仁(笑)。


その報いを受けていくのもさもありなんなんですが、「私ばかりが何故こんな目に・・・」とばかりに嘆いたり憤りを覚えたりするやや(いや、かなり)身勝手なサマがやけに似合う、さすが”オレ様”(笑)春野寿美礼様です。柏木と女三の宮の裏切りで燃え上がる見せ場なんて、過去に演じたタモさん(愛華みれ)の情けなさ→恨み節への転化より、”過剰な責任転嫁ぶり”を感じさせてかなりウケてました。


それにしても学生時代に教科書で出てきた「源氏物語」はえらく退屈でしたが、漫画「あさきゆめみし」でその面白さに目覚め、宝塚版で見るとまた違った意味で楽しめます。結局、10世紀のこの頃から今の日本人女性の”王子様好き*1というのは変わっていないことが分かりますね。

【つじつま合わせにやや難あり】


劇場で見ると、初演の懐かしさや寿美礼ちゃんのハマリ役ぶりに何度もウルウルしてしまったこの作品なんですけど、終わってみるとちょっと?なところが幾つか出てきてしまいました。まずは2幕ものとなって膨らんだ筈の物語構成なのですが、付け加えた場面がかなり疑問。


もともとは朧月夜との密会がバレて須磨に流される晩年の物語が初演でもクローズアップされていたのですが、その時の場面はほぼ網羅されていました。よって幼少期〜青年期が加筆されると期待していたのですが、奥方・葵の上、六条御息所、紫の上との出会いなどがほとんど省かれていて、ただ「光の君」について周りが語って盛り上げている、という感じ。


これなら、初演バージョンでも充分じゃないかな?と思うほどでした。そして、2番手の真飛聖ちゃんの刻の霊と3番手の壮一帆ちゃんの頭の中将という役付逆転*2のために、あまりにも刻の霊の場面が増えすぎてバランスが悪くなっていたのがかなり残念。頭の中将は、源氏の対比として出てくる人物なので、そこが弱くなると面白みが減退するのです。


やや高音が不安定ながらもマトブンの歌唱力UPは目覚しかったので、もう少しもったいつけた出番の方が映える気がしました。また壮くんの頭の中将、相変わらず100ワットの明るさ、見てて自然に笑みが出てしまうほど楽しい。でも、平安時代に「永遠のライヴァル」という台詞はナンセンスでしょう・・・(汗)と。


桜乃彩音ちゃんの紫の上は、可憐で本当に可愛かったです。最愛の夫の裏切りではかなくなっていくサマは、鋼鉄の女・大鳥れいちゃんの時よりずっと似合ってました。思わず「光源氏、紫の上を泣かすな〜!」と思ってしまうほど。柏木の真野すがたちゃんも好印象です。男役としての脆弱さが、逆に繊細そうに見えました。


細かいツボをもっとおさえておけば、充分宝塚の代表作となりえる作品だと思うので、惜しいです。何にせよ、寿美礼ちゃんの光源氏が、かなり面白かったので個人的には楽しめたのですけれども。

*1:王子様というより皇子様かもしれませんけど。

*2:初演では、2番手匠ひびきさんの頭の中将、4番手寿美礼ちゃんの刻の霊