雅・処

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おどろおどろしい大河ドラマ『平清盛』

毎年新たに始まる大河ドラマを、興味を持って見始めます。それでも、2月に入る頃になると惰性での視聴疲れと失望感で「もうこれ以上いいや」となることが多く、1年間見続けるのは容易なことではありません。自分が興味を持っている戦国時代ですら、主人公が過去に何度もドラマ化されている人物だと、先入観も持ってしまいがちですし、時代物に慣れていない人気役者の演技に抵抗があって興醒めになったり。


今回の平清盛は、比較的馴染みの薄い平安時代が時代背景ですし、特に大好きな役者が揃ってるわけでもないのに、1話目から引き込まれました。とにかく1話目から”皆様のNHK”とは思えないような、おどろおどろしい場面(笑)が続きました。息子の嫁にまで手を出す白河法皇の無茶ぶり、充血した眼に涙を溜め心病んでいそうな鳥羽上皇やら。艶っぽいシーンもありますし。


主人公・清盛自体が”不義の子”ながら平家に引き取られたという生い立ち。おいおい、これって大丈夫なの・・・?と慄くほどの濃ゆいストーリーです。しかし巷を騒がせたのは、兵庫知事の「画面が汚い」発言ということで、なんか目の付け所がちょっと違うような気も。とはいえ、私もそう愚痴りたくなる知事の気持ちが理解できます。(たしかに瀬戸内海は、スカイブルーではなく、瑠璃色に見えましたね。)

【映像は美しくないです】


冒頭から映像が黄色っぽく処理されて、砂埃舞うセット、トーンを落とした照明など、まるで映画のような凝ったフィルム映像でなかなか目が慣れません。一方で、そういう映像的な処理よりも、当時の武士や民衆があんなに泥まみれで、薄汚かったのか?そこがとても気になりました。勝手に現代の私達が脚色してるんじゃないでしょうか。


無頼漢ぶりを発揮している清盛が権勢を誇る晩年には、どんどん貴族っぽくお上品に変わっていくのでしょうか。そんなことを思いながらも、ここ数年間の大河で最も期待をしなかったのに、もしかしたら最も面白いかも・・・と、引き込まれてしまう自分がおります。視聴率は今のところ、パッときてないみたいですが、これがナゼか意外と面白い。


どの人物も満たされていない、一触即発のような危なさを感じます。不穏な時代の空気もはらんでいて、何が起こってもおかしくないような緊張感が続きます。宮中のえげつない派閥抗争や裏切りは、武士同士の無骨な争いよりも陰湿だったりして、落ち着きません。このドラマってスッキリ爽やかな感動ってあるのかしらん。


松山ケンイチ君は、さすがに熱演ですね。こんな暑苦しい”漢(おとこ)”を演じる日がこようとは思いませんでしたが、肉体のみならず精神的な逞しさを感じます。中井貴一扮する平忠盛のクールで偉大な父に、憧れと反抗心をない交ぜにした、複雑な表情を見せる様がちょっと可愛らしい。まだまだ大きな子供、の清盛ですが一体どうなっていくのやら。


とはいえ、基本的には胸をときめかさず、どんなキャストが出てくるのかも分からず、なんとなく流れに身を任せて見ようと思います。絶対見逃せない!という変なプレッシャーがないから、意外とこんな調子で、気負わず最後まで見てしまうかもしれませんね。


平 清盛 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)

平 清盛 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)


恒例のNHK出版ドラマストーリー。今年も3冊でるのかな?