雅・処

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スタジオライフ『ロミオとジュリエット』観劇記(3)

ピュアな若手チーム編

そろそろこの観劇記も締めなければ・・・という時期かもしれません。Sチームの印象は、前日も書いた通り、まさに「新人公演」的なノリでした。荒木健太朗君のロミオ、松本慎也君のジュリエットはもちろんのこと、ベンヴォーリオは関戸博一君とジュニ7が揃い、パリス伯爵はフレッシュ(もうすぐジュニ8に昇格する)の仲原裕之君です。他のキャストもEチームより総じて若いので単純に比べられないところです。

【荒木ロミオは、発展途上】


このロミオという主役を演じるにあたって、台詞、挙措動作、もちろん演技もきっとものすごーく苦労しただろうと想像されたのが荒木君でした。私が見た時はまだ開幕してわずかな頃の観劇でしたから、尚のことコナレていなかったのだと思いますが、時折ロレツが廻らなかったり、ヘロヘロだったり、極めつけは「南部訛り」(いや熊本の方言でしょうね)炸裂、どうもちょっとばかし田舎もん(笑)なロミオでした。本当に見始めはなんだか親戚にでもなった気分でハラハラしまくる状態でした。


これでも荒木君のことは、未知数だけれども有望な若手・・・という認識でいたのですが、さすがにこのロミオはハードルが高すぎの感は否めません。倉田さんは、期待する若手にしばしば無謀と思われるような大役を演じさせて急成長を呼び起こすのですが、さすがに今回はその策も行き過ぎの気がしました。もちろん、荒木君はこの芝居が終わった暁にはかなり大きく変わると思うのですが、それでもせめて1,2年先であったらまた違った良さが出たんじゃないかな、と思うとやや残念です。


荒木君の印象的なところは、ジュリエットの愛を勝ち取った!と歓喜を表現するときの満面の笑顔。まるで子犬が主人を見つけて大喜びするかのような、無垢で抗いがたいスマイルです。そして、ジュリエットの死を前にして発狂寸前となるシーンで、計算など全くないような激しさを見せるところもです。ちょっと若かりし日の青木君を思わせるエキセントリックさが見えつつも、根は純朴そのもの、というところが不思議。やはり面白い素材だと思います。

【恐るべし!松本ジュリエット】


考えてみればジュニ7は、線が細く”女役”が似合う役者が多い期。この期からロミオ役を選ぶとすると確かに難しいのでしょう。ライフ全体を見ても意外に「ロミオ」役が似合いそうな役者がいない、というはアクの強い個性派が多いということかもしれません。やはり笠原さんのようなクセがありそうでなーんも考えてないような(そう見えちゃうだけです。笑)ストレートな役者もいないと厳しいかも。


そして我らがヒロイン、松本君。彼の成長ぶりには、毎回驚きまくりなのですが、「トーマの心臓」のエーリク以来、また一段と真ん中が似合うようになった気がします。もう主役が当たり前になっておりますが、それでもジュリエットは期待以上の可憐さで、真っ赤なドレスで登場する度に著しく悶えておりました。もうそこでショーケースにでも入れて飾っておきたい、という衝動に襲われるほどです。


初めて恋を知った、もうすぐ14歳の乙女、の恥じらいを演じながらも奥底には凄みを感じさせるような強さを併せ持つジュリエット。通称”マツシン”と呼ばれ、生身の”男の子”で見かける彼からは想像できないのですが、女役で現れるとどこからともなく女性らしさが匂い立つのです。かといって無理しているところは見受けられず、本当に不思議な個性だなあ~と見る度に思います。

【気になる脇役陣】


ジュニ7の吉田君や三上君は久しぶりに男役を見た気がしましたが、そのせいかとても新鮮で、溌剌として見えました。曽世マキューシオは、大体想像と変わらず。ダンディな曽世さんなので、頑張って見てもどうにも荒木君と親友には見えません。。。見えないと言えば、高根ティボルト。本気で闘ったら絶対ロミオよりも強そうなのに、何故キミは負けるんだ?と思わず問いかけてしまうのです。*1


一方、石飛さん、さん、倉本さんもいつも通りで出てくるだけで楽しめました。船戸さん演ずるジュリエットの父親(キャピュレット)が結構お気に入りです。娘の気も知らず勝手に縁談を進める”とんでもパパ”なのですが、無性に楽しかったのは船戸さんの憎めないキャラクターが滲み出てるからだと思います。更に、大公役の甲斐さんがやけにオカッパ鬘が似合っててよりステキに見えました。


面白いと言えば、私がよく”ヘルメット坊や”と名づけてて、やけに親しみを覚えてしまう山崎さんの髪型。昔の修道僧を思わせる、前髪から耳元までまっすぐ切り揃えたカットです。あまりに山崎さんに似合ってて、見た瞬間、内心かなりウケてましたが、そんな見ためなど吹き飛ばすような山崎さんの諳んずる詩的な台詞にウットリ。


前回の「真夏の夜の夢」では、ロバの被り物をつけていた役者とは思えない、これぞ役者だ!な演技に久しぶりにノックアウトしてました。ライフで”正統派”の演技をやらせたら、確かに山崎さんの右に出るものはいない、と最後の慟哭シーンで不覚にもホロリと泣かされてしまいました。


 この涙、アナタにあげる、山崎さん


と字余り句で強引に締めくくってしまいましょう。そして、心は次のジアザー公演へと旅立つのです。(早すぎ)


スタジオライフ『ロミオとジュリエット』観劇記(1) - 雅・処
スタジオライフ『ロミオとジュリエット』観劇記(2) - 雅・処
スタジオライフ『ロミオとジュリエット』挿入曲 - 雅・処

*1:物語だから仕方ないのですけどもちょっと無理がありまくり。