雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

「END OF THE YEAR FESTIVAL2013」レポ(3)

第3位:LILIES

書かないとなかなか終わらないので、頑張って書きます。第3位に『LILIES』がランクイン。私の中では、永遠の1位の作品なんですが、まあそれはそれとして。ここからは、演出家の倉田さんも交えて貴重な裏話が出てきました。


まずは、芳樹君が語る2003年の大阪公演の思い出から。彼が話し出す前から、「ああ、あれか」と、あの大きすぎるハプニングが目に浮かびました。私にとっても、『LILIES』大団円を締めくくる貴重な千秋楽公演で遠征したのですが、今思い出すのは”アレ”ばかりになっちゃうんですよね。ほんと笑えない。


「ヴァリエ、君を愛してる!」と勢い良く入浴中の芳樹ヴァリエに駆け寄った高根シモンが、バスタブの真横でスッテーン。たまたま、いつもより周辺に水がこぼれて舞台も滑りやすくなっていたためと思われます。「転んで、高根が急に視界から消えて・・・僕は笑うことができない状況で必死にこらえていたんだけど、高根は目がキョロキョロ、挙動不審になっていた。」(客席、爆笑)


その言葉に、老ビロドー神父役として舞台の2階上部で座って見ていた船戸さんが、「客席もドッカーンって笑ってましたよ。」とダメ押し。「客席は見えなかったけど囚人達が皆笑っていて・・・。」「あの時、倉田さんだけは、客席で頭を抱えていた。」ということで、倉田さんは、アッチャーという頭を覆って見せてました。もうその気持ち、分かる分かる。


笑えない芳樹君は、「それでも(そんなシモンが)好き・・・大好き!」と自分に言い聞かせるように、力強く色っぽい声でつぶやいててまた爆笑。当時、私が客席で見た記憶だと、転んだ後で慌ててバスタブに戻った高根さんは、一瞬の素に戻って苦笑いを浮かべていましたし、芳樹君も満面の笑顔で答えていました。


芝居的に重要なシーンでのハプニングは痛かったのですが、いつもより2度くらい温度が上がって、頬も紅潮した2人がまさに”恋人同士の至福の瞬間”に見えました。可愛かったなあ、2人とも。


今回の配役で老シモンがふられた芳樹君は、「かなり年代が違うので、不安でしたね。」「ボクで良いんですか?」と倉田さんに聞いたそうで、「やっぱり人生で後ろめたいことを背負ってる人がいいのよ。」と、キレのある返しをしていて、また大ウケでした。それを聞いて、照れ笑いを浮かべる芳樹君。


更には「色々な役を経験して、作品の世界をまた違った角度で見ることができるの。」と語る倉田さんに、「ヴァリエ再び、もあるかも。」と言われて、「いやそれは・・・」と戸惑った表情を見せる芳樹君。ワタクシ的には、芳樹君はまだできるんじゃないかな、と思わなくもないんですけど。(ダメですかね?)

【まだあるエピソード】


船戸さんは、初演当時から老ビロドー神父役でしたが、「当時、僕まだ20代だったんですけど、ずっと同じ役ですから。久しぶりに髭を生やしたら”親戚にお前、泥棒になったのか”と言われてしまったんですよ。」「職質にもよくひっかかって、”カバンの中見せて”って言われるし。」と、ちょっと困った表情を浮かべると、倉田さんもウケまくり。


「船戸君、飛行機でもよくひっかかってたわよね。一人だけ来なくて、”船戸君は?”って探していたら・・・。」の言葉に、「あの時は、金属を持っていたからですから。」と懸命に自己弁護していました。


芳樹君は、船戸さんの「まだ20代だった」発言にひっかけて、「僕もまだ10代だったので・・・。」とボケをかましておりました。それにしても芳樹君と違って、誰も船戸さんが若い頃から老け役、という事実には突っ込んでくれないのか、と内心思いましたが(笑)。


入団オーディション前に見ておこうと、初演『LILIES』に来たのが牧島君。「誰のお尻見た?」という芳樹君の不思議な問いかけに、「あの時は、曽世さんでした。」とキッパリ。バスタブで裸体のまま立ち上がるシーンのことだったんですね。当時、売り切れ続出のこの公演では、全くキャストを選ぶ余裕などなく、残席がわずか2、3回分しかなかったそうです。


一番印象深かったのは、「男子トイレがなかったこと」。そうそう、スタジオライフのサンモール公演の時は、1階男子トイレは女子トイレに変貌するのです*1。男性は、2階へ通じる狭い階段を昇ってトイレに行くという状態。ただ、最初に見た記念の公演が『LILIES』で素晴らしい公演を見れた、と語る牧島君は素敵ですね。あの芝居、男性が見てその価値を理解するのは結構大変だと思うのです。


ライフの役者ってどこか女性的な感性を持っていないと、倉田さんの描き出す世界観に入りきれないと思うのですが、それは理屈ではなく、インスピレーションみたいなもので、どちらかというと演技を勉強している人でも、結構抵抗があったりするんじゃないかな、と。いろんな理由があっても、辞めずに劇団を続けているのは、感覚的な部分で一定ラインをクリアしてるからなんではないか、と。


倉田さんからは、フランス語訳→英語訳→日本語へと翻訳していく際の苦労話がありました。特に、芝居で一番の名シーンと言って過言ではない「ヴァリエの手紙(詩)」。日本語と違って、語順が異なるため、主語と述語の間に、いろいろな長い言葉が入っていて、それを耳で聞いておかしくない日本語にするのが大変だった、という話です。


英語やドイツ語を少し勉強したので、語順や文体の特徴についてはすぐにピンときました。仕方なく、語順を変えたり意訳したりして繋げたので、原作を知っている人には「正しくない」と指摘されるかもしれません、という倉田さん的な悩みも吐露されていましたが、それは異なる言語世界のことだから当然のことです。原作についてどこまでも真摯な思いを持っている倉田さんならではのコメントだと思いました。


全部レポするまで、やっぱりあと2回くらい続きそうですね(汗)。


スタジオライフ「END OF THE YEAR FESTIVAL2013」レポ(1) - 雅・処
スタジオライフ「END OF THE YEAR FESTIVAL2013」レポ(2) - 雅・処
スタジオライフ「END OF THE YEAR FESTIVAL2013」レポ(4) - 雅・処
「END OF THE YEAR FESTIVAL2013」レポ(5) - 雅・処

*1:これは今でもそうですね。初めて見に来る男性は驚くはずです。