雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

Silent最終回の感想

ストーリーじゃなくて、行間が味わい深いドラマだった

ようやく見れました。仕事が鬼のように忙しくて、4日も遅れて「Silent」最終回を見ることができました。穏やかで静かでまさにSilentな最終回でしたね。めめ、ライブで忙しいところ、よく頑張った、ご苦労様。


このドラマ、ストーリーだけで話すと、私にとってのピークは3話くらいまでだったと思います。まず湊斗が紬と円満に(?)別れるところで関心度が減退し、その後、想が奈々の片思いを残酷に断ち切るくだりで、主人公カップルについては傍観者になってしまいました。


元々、高校時代に付き合っててお互いが好きなのに別れた2人が再会して、縛り付ける相手もいなくなったら「別に付き合えばいいよね」と思ってしまいますし。圧倒的にビジュアルも良しな2人なので、どうぞお幸せに、な感じで。


聴覚障碍者としての想の苦悩や家族の想いなども丁寧に描いていたとは思うのですが、あまり想の悲しみには寄り添えずゴメンね、な感じで、中盤から奈々と春尾先生の大学生シーンと現在に心奪われたりしてました。


メインじゃなくてサブキャラに感情移入してしまう・・・という展開に(苦笑)。「どんだけひねくれてるんだ、私」って思いますが、案外そういう視聴者も多かったんじゃないかしら。


なので、Silentの3大好きなシーンは、下記の通り。

①想と紬の衝撃の再会シーン、泣きながら手話をする佐倉想 
②大学時代に階段を上る奈々の名前を背後から呼びかけて振り向いたときの春尾さんの表情 
③耳が聞こえなくなった想との対比で、高校時代の想に呼びかける湊斗の回想


紬と想の高校時代の爽やかな回想シーンも良かったけど、心にグッときたシーンはこの3つのシーンでしたね。そうそうお母さんと紬の会話も良かったな。


私、紬に向ける湊斗の優しさがあまり心に響かなかったですね。最後の最後まで、想と紬の間を橋渡ししていて、別れた彼女のためにそこまでできる男の人ってなんか想像できない、というか。


正直気味が悪い・・・と言ってもいいくらいお人好しな湊斗で。せめて普通に接することができるくらいにはなれるように時間を置こうよ、って。


いくら想の親友だったとしても、現実的にまだ紬に心を残しながら、2人に優しくなんて行動は絶対に取れないだろうし、みんな優しくてみんないい・・・みたいな世界観にゾッとしてしまう部分がありました。


これ、疲れ切った日本の現代人には、癒し効果抜群みたいな捉え方もあると思うけど、それだけ心に余裕がなく貧しくなって追い詰められている日本人・・・という寂しい現実もあるだと思うんですよね。(罵り合ったり陥れたりする展開には辟易するにせよ)

映像美と行間で見せるドラマ

Silentというドラマの魅力は、1つ目にキャスティングの新鮮さですね。派手ではないけど若い人から親の年代までみんな演技達者が揃っていたことの没入感が気持ち良かったです。その中に目黒蓮の魅力も入れておきましょう。


ファンの私ですら驚くほどの演技開眼な姿。一生懸命で爽やかで、どこか内面に秘めた強い想いを滲ませている、めめ本人との親和性も高かったです。声を出さないからこそ手話と表情に集中して「魅せる」ことが出来たのもあったかもしれません。


まだ、声を出した芝居については、同年代の俳優さん達に比べて経験不足だから粗も見えてしまったでしょう。それが声が出せない切なさをぎこちなさを想の気持ちのままに演じることができたんじゃないかと。


そしてそんな不器用さが逆に、めめを魅力的に見せていたんじゃないか、と思います。めめの今後の俳優人生にとってもこの役は大きかったです。これからがむしろ大変かもしれませんね。注目の高さが重圧になってくるだろうし。


さてドラマ2つ目の魅力は、やはり会話をじっくりと聞かせる、むしろ行間を読めってくらい、まどろっこしいほどの会話劇だったこと。重要なシーンでは過剰な音を排したり、カメラアングルを集中させたりと映画のような丁寧さ。


このあたり、脚本の生方さんと風間監督という若い才能が相乗効果を呼んでいた、と思います。


「ぼくらの時代」での作り手3名のトークを聞いて、特に生方さんの「日本語が分かる人に見て欲しい」と徹底的に自分の世界観を全うしている姿を見て、一層そういう思いが強くなりました。


ただただ、やっつけのドラマ作りじゃなくて、シッカリ良いものを届けようとしている真摯な態度がある、そんな作り手達の組み合わせからすべては始まったのでしょうね。


視聴率はそこそこだったけど、TVerでの配信数が高かった、というのも新しい革命的な出来事だったと思います。忙しい現代人は、連続ドラマを定時に見ることは少なくなってますし、録画してすら放置してしまいがち。


話題で思い出して、パッと見られる配信はありがたいです。(そのせいか、TVerのCMがTVとあまり変わらないくらい長くなってきたのはちょっと勘弁して欲しいのですが💦)


全体的に良かったけど、私自身は何度も見たいドラマというわけではないですね。切なすぎて見ててしんどいし、どうにも主人公カップルが他の人を傷つけて得てる幸せ(傷つけられた側も紬と想を応援するという絵空事の作り)というのが好きになれないので。


そもそも男女の純粋なラブストーリーというのが、私にとってはかなり食指が低い世界観でした。身も蓋もないのですが。


ディレクターズカット版か、おっとその手があったか。


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